西洋アンティーク 歴史と芸術のマリアージュ  | 銀座

イギリス陶磁器のブランドとマーク

イギリスの磁器ブランドとマークをご紹介します。


イギリス磁器のはじまり


17世紀、中国や日本の磁器が海を渡りヨーロッパに渡って行きました。ヨーロッパでは良質な磁器が開発できず、東洋の磁器は王侯貴族にとって憧れでした。そして、ヨーロッパでは磁器の開発へと進みます。最初に開発をしたのがドイツ(ザクセン)のベドガーでした。ベドガーはアウグスト王の命を受け、硬質白磁の開発に成功し、マイセンが誕生しました。 イギリスでは1740年頃にチェルシー窯やボウ窯にて軟質磁器が製造されました。しかし、チェルシー窯は1784年、ボウ窯は1776年にそれぞれ廃窯となります。 その他、1760年代にプリマス窯はカオリンを使用して硬質磁器を製作しました。 その後、スポードやミントン、ウェッジウッドなどスタッフォードシャーを中心にイギリスの陶磁器は発展していきました。1799年にはスポードがボーンチャイナの製品化に成功し、ウェッジウッドでもボーンチャイナの製造に成功するなど、イギリス陶磁器はボーンチャイナなくしては発展しえませんでした。ボーンチャイナ(BONE CHINA)とは原料に牛のボーンアッシュ(骨灰)を加えたものです。イギリス初期の陶磁器は窯印がないことが多く、あったとしても同様のマークを複数のメーカーが使用しているなど、マークのみからの特定は困難です。18世紀や19世紀前半のアンティークのものは素地の材質や絵付けの具合などを判断の材料とします。


ボウ&ブリストル


レジストリーマーク

イギリスでは意匠登録制度が発達しており、登録されたものはレジストリーマークが刻印されています。

イギリスレジストリーマーク一覧(PDFファイル)


エインズレイ / AYNSLEY

設立

1775

ジョン・エインズレイ(John Aynsley)がロングトン(Longton)にて開業。転写を用いた作品が今でも残る。

繁栄

1864

息子2世が発展させ、JOHN AYNSLEY&SONS(LTD.)設立。2年後、ロングトンの市長となる。

王室御用達

1931年

チューリップシェイプのカップ&ソーサーを製作。メリー女王に献上される。その後も王室の依頼に幾度となく答えている。


スポード、コープランド / Spode,Copeland

1770年、ジョサイア・スポードが開業する。その後、ジョサイア・スポード2世が引き継ぎ、ボーンチャイナの開発を試みる。1833年、W.T.コープランドとトーマス・マーガレットが買収する。その後、W.T.コープランドが単独でオーナーとなる。イギリスでも古いメーカーの一つであり、金彩技術やジュール打ちの技術なども発展し優れた製品を多く製造した。



コールポート / Coalport

イギリスの陶磁器メーカー。1790年代にジョン・ローズが開窯。
19世紀に入ると高い装飾技術により評価を受けるようになる。ジュール打ちや柔らかいタッチの風景画などは名高い。


1795年頃 ジョン・ローズ(John Rose)が開業(John Rose&Co.)。 1820年 芸術協会の金賞を受ける。

1841年 ジョン・ローズが死去。経営は甥のウィリアム・ローズ(William Rose)とウィリアム・ピュー(William Pugh)に移る。

1885年 ピーター・ブラ ッフ(Peter S.Bruff)に買収される。

1924年 コウルドンに買収される。

1926年 工場閉鎖、コウルドン工場に統合。

1967年 ウェッジウッドグループに入る。


コールポート

ジョージ・ジョーンズ / George Jones

ミントンやウェッジウッドで修行していたジョージ・ジョーンズが1861年創業。1872年よりボーン・チャイナの制作を始め、トレードマークとして「Cresent」を登録する。1893年にジョージ・ジョーンズが亡くなった跡も家族によって引き継がれ、会社は成功を収めた(〜1951年)。


H&Rダニエル / H&R Daniel

スポードで働いていたヘンリー・ダニエル(Henry Daniel、1765-1841)が1822年に設立。1826年に息子のリチャード(Richard Daniel、1800-1884)が加わり、優れた絵付けの製品を製造した。1846年まで磁器を製造したが、その後の経営に失敗し破産。短期間しか製造していないことや作品が優れていたことで現在では人気が高い窯の一つとなっている。


1751年創業の歴史ある陶磁器メーカー。医師のジョン・ウォール(John Wall)とウィリアム・デイヴィス(William Davis)によって設立される。1783年にトーマス・フライト(thomas Flight)によって買収、1786年にはチェンバレン(Chamberlain)が独立、1789年にはロイヤルの称号を得る。1793年にマーティン・バー(Martin barr)が加わる。1840年、独立していたチェンバレンによって買収される。1852年にW.H.カー(Kerr)とR.W.Binns(ビンズ)によってチェンバレンが買収され、1862年ロイヤル・ウースター(Worcester Royal POrcelain Company Limited)と名称を変更する。1878年パリ万博にて金賞を受賞、その後もグレンジャーなどの工房を合併し成長していった。 常に優れた製品を製造し続け、ジャポニスム期には強い影響を受けた。また、絵付けのレベルは非常に高く、絵付けと焼成を6回繰り返すペインテッドフルーツはウースターの最高級品として知られる。

ロイヤルウースター
1860年代より年代別のマークが用いられる。マークの王冠付の球の周りに何が書かれているかを見る。1867年から1890年の例↓

A=1867 B=1868 C=1869 D=1870 E=1871 G=1872 H=1873 I=1874

K=1875 L=1876 M=1877 N=1878 P=1879 R=1880 S=1881 T=1882

U=1883 V=1884 W=1885 X=1886 Y=1887 Z=1888 O=1889 a=1890 となる。

※1862年〜1875年はアルファベットではなく製造した年の下2桁が書かかれることもある。

※1891年以降は球の周りに"ROYAL WORCESTER""ENGLAND"の文字と点が付く。その点の数によって年代をみていく。点が多ければ多いほど新しいものである。


【ロイヤル・ウースター時代区分】

1751 - 1776 ドクター・ウォール期(Dr.Wall、ファーストピリオドとも)

1776 - 1783 デイヴィス期(Davis)

1783 - 1793 フライト期(Flight)

1793 - 1804 フライト&バー期(Flight&Barr)

1804 - 1813 バー、フライト&バー期(Barr,Flight&Barr)

1813 - 1840 フライト、バー&バー期(Flight,Barr&Barr)

1840 - 1852 チェンバレン(Chamberlain)※チェンバレンは1783年に独立、1840年本家ウースターを買収した)

1852 - 1862 カー&ビンズ期(Kerr & Binns)

1862 - ロイヤル・ウースター(Royal Worcester)


当店のロイヤル・ウースター商品一覧

ミントン / MINTONS

1790年代にトーマス・ミントンがストーク・オン・トレントに開窯する。19世紀後半には、イギリスで最高ともいわれるエッチング金彩(アシッド・ゴールド)の技法で最も装飾に優れたメーカーとして地位を確立させる。

ミントンブルーと呼ばれる綺麗な水色の装飾は日本でも人気が高い。


1793年 ストークオントレントにトーマス・ミントン(Thomas Minton)が工場を建てる。

1798年 ボーンチャイナの生産に成功。

1817年 Minton&Sonsとなる。

1836年 Minton&Boyleに改称する(~1841)。

1845年 Minton&Hollinsに改称する。

1849年 Minton&Co.に改称する(~1873)。

1851年 ロンドン万博で高評価を得る。その後、ヴィクトリア女王の賞賛をうける。

1863年 アシッドゴールドを開発、特許を取得する。


 ミントン

コールドン / Cauldon

現在では知られていないが、アンティークではイギリス磁器を代表するメーカーの一つである。創業は1802年頃ジョブ・リッジウェイによって開業、1862年よりブラウン・ウエストヘッド・ムーア社となる。コールドン社と名乗るようになったのは1905年からである。

1802年頃 ジョブ・リッジウェイ(Job Ridgway)が「CAULDON WORKS」という磁器工場を設立。

1808年頃 息子が経営に加わり、JOB RIDGWAY&SONSと改称。

1814年 ジョブが死亡。JOHN&WILLIM RIDGWAYと改称。

1830年頃 JOHN RIDGWAY と改称(1841年〜JOHN RIDGWAY&Co.)。

1856年 ベイツ(Bates)が経営に加わる。JOHN RIDGWAY BATES&Co.となる。

1858年 ジョンが引退。BATES,BROWN-WESHEAD-MOORE&Coとなる。

1862年 ベイツが共同経営から外れる。BROWN-WESHEAD-MOORE&Coとなる。

1905年 CAULDON,LTD.となる。

1920年 CAULDON POTTERIES,LTD.となる。

1962年 POUNTNEY&CO.LTD.に買収される。


コールドン

ロイヤルクラウンダービー / Royal Crown Derby

1740年代アンドリュー・プランシェがダービーにて制作ははじめ、1756年にジョン・ヒース、ウィリアム・ドゥーズベリが加わりダービー社が設立された。ウィリアム・ドゥーズベリは優れた才能を発揮し、高品質の食器を製造、チェルシー窯の買収(チェルシー・ダービー)、ボウ窯の買収などで事業を成功させ、国王ジョージ3世に認められ「クラウン・ダービー」と名乗った。1786年にドゥーズベリは死去し、ドゥーズベリ2世が継いだ。ドゥーズベリ2世も優れた経営者で良質な作品を製造した。1797年にドゥーズベリ2世は死去、その後はマイケル・キーンやドゥーズベリ3世などが経営したのち、1815年ドゥーズベリ家は経営から退き、ロバート・ブルアによって経営された。ブルアは伊万里焼の文様を取り入れ、会社を成長させたが、1848年に閉鎖された。しかし、残された職人たちは工房をダービーのキング・ストリートにて続けていた。1874年、ウースター社の株主の一部が新たな磁器会社設立のため、ウースター株を売却した。そしてダービーに注目をし、1876年新会社を設立した。これによりキング・ストリートの工房と新会社の2派が併存することとなった(1935年に統合)。1890年、ヴィクトリア女王より王室御用達として認められ、「ロイヤル・クラウン・ダービー」と名乗り、現在まで続く。


ロイヤル・ドルトン / Royal Doulton

1815年にジョン・ドルトン(John Doulton)らががランベスに開窯する(Jones, Watts & Doulton)。1820年にDoulton&Watts、1853年にDoulton&Coとなる。会社は2代目ヘンリー・ドルトンによって成功し、1877年にバースレムに新しい窯を設け、1882年以降ドルトンは磁器も制作するようになる。1901年に王室御用達(ロイヤル・ワラント)となる。1971年、ロイヤル・クラウンダービーなどを保有していたS. Pearson & Son Ltdによって買収され、その結果Royal Doulton Tableware Ltdとしてその傘下にロイヤル・ドルトン、ミントン、ロイヤル・アルバート、ロイヤル・クラウンダービー、パラゴンなどが入る大きなグループとなった。


 ロイヤルドルトン

ウェッジウッド/ Wedgwood

【ウェッジウッド / Wedgwood】 1759年、ジョサイア・ウェッジウッドによって設立。1766年にはジャーロット王妃御用達となり、得意としていたクリームウェアに「クィーンズウェア」の名が与えられた。1774年にジャスパーを完成、1790年にポートランドの壺が制作された。1812年にボーンチャイナを完成したがその後生産中止、1878年にポートランドの窯印とともに再びボーンチャイナの製造を再開した。現代ではイギリスを代表するブランドとして世界的な人気を誇る。



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ここで紹介したのはごく一部で、実際にはここで紹介した以外にも多くのマークが使われております。また、マークの年代には諸説あるものもあり、あくまでも参考としてご覧ください。マークについてご質問等あれば、「お問い合わせ」よりご連絡ください。

参考文献
『Encyclopedia Of British Pottery And Porcelain Marks』(Geoffrey A Godden/ Barrie & Jenkins/1987)
『Kovels' Dictionary of Marks Pottery And Porcelain: 1650 to 1850』(Ralph Kovel、Terry Kovel/Random House Reference/1995)
『Kovels' New Dictionary of Marks: Pottery and Porcelain 1850 to Present』(Ralph Kovel、Terry Kovel/1986)
『Spode-Copeland-Spode The Works and Its People 1770-1970』(Vega Wilkinson/Antique Collectors Club Ltd/2002)
『MINTON』(Joan Jones/Swan Hill Press/1993)
『Coalport 1795-1926』(Michael Messenger/ACC Art Books/1995)
『ヨーロッパ アンティーク・カップ銘鑑』(和田泰志/実業之日本社/1996)
『アンティーク・カップ&ソウサー』(和田泰志/講談社/2006)

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