エスカリエ・ド・クリスタルはパリのパレ・ロワイヤルにあった高級店であり、様々な美術工芸品を取り扱い工芸の中心ともいえるリテイラー。1818年、当時の国王ルイ18世の御用達となる。1830年前後にボワン(Boin)に引き継がれ、1839年にピエール=イジドール・ラオシュ(Pierre-Isidore Lahoche)が加わった(Lahoche et Boin)。1852年(1854年とも)にエミール=オーギュスタン・パニエ(Emile-Augstin Pannier)が加わりPannier, Lahoche社となった。1867年にラオシュは引退、パニエ一族によってその後運営されていったが1923年に閉店となった。陶磁器の販売も行っており、「Lahoche」銘による作品が残されている。絵付けはボワイエなど他工房へ委託していた可能性が高い。

詳しい解説

エスカリエ・ド・クリスタルは、家具やブロンズ、磁器を扱う店として、室内を飾る美術工芸品をまとめて提供していました。書籍はその販売と、磁器の修理・装飾の仕事を紹介し、豊かな顧客の好みに応じて器形や装飾を整えた製品を挙げています。ラオシュの名があることは、店や装飾事業との関係を示し、すべての工程を同店が行ったと直ちに意味するものではありません。

印には「Lahoche Palais-Royal」、「L’Escalier de cristal Paris」、パニエとの連名、店名を囲む形で示すものなどがあります。工房の製造印、絵付け師の署名、販売店の銘を区別して読むことが重要です。器の裏側にある銘を全文で確認し、素地と装飾、店の名の役割を分けて記録することで、高級販売店を通じて供給された磁器の成り立ちを整理できます。

詳しい解説の出典
  • Geneviève Le Duc et Henri Curtil『Marques et signatures de la porcelaine française』、Éditions Charles Massin、印刷117頁