のち国王シャルル10世となったアルトワ伯爵が庇護した窯ルボン・アレー(Lebon Halley)です。
ナンキンイエローと呼ばれる黄色を背景に鮮やかな紫とグリーンでエキゾチックな植物が描かれた復古王政期らしいデザインのカップ&ソーサーです。絵はすべてが手描きです。ナンキンイエローはセーブルをはじめとして、この時代に流行した色合いでイギリスの多くの窯などにもその影響はみられるほどです。
窯印は庇護していたアルトワ伯爵の敬称ムッシュー(国王の最年長の兄弟を表す敬称、アルトワ伯爵は当時国王ルイ18世の弟)からとった「M」の窯印を使用しています。
【ルボン・アレー / Lebon Halley】
シャルル・アレー(Charles Halley)によって設立。その成り立ちは不明な点が多いが、1793年にはモンマルトル大通りにて陶芸家として記録があり、もともとカーンの工場長をしていたとされる。1811年、陶磁器などの小売店「Au bon pere de famille」をヌーヴ・サン=トゥスタッシュ通りで経営していたたルボン(Lebon)がアレーの娘と結婚し、提携する。ナポレオン政権が終わり復古王政期になると、アルトワ伯爵(のちの国王シャルル10世)に庇護され、その名を冠した窯印も使用した。セーヴル国立陶磁器美術館に残された資料では「Manifacture de porcelaine de SAR Monsieur, frere du Roi」とある。1822年にその記録は途絶えている。アルトワ伯爵は1824年シャルル10世としてフランス国王に即位した。
【参考文献】
『LA PORCELAINE A PARIS sous le consulat et l'empire』(1985年)
年代/PERIOD | 1811年~1822年 |
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刻印 /MARK | あり |
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状態/CONDITION | 良好(多少金彩スレあり)
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サイズ/SIZE | カップ 直径6cm 高さ 6.1 cm(いずれもハンドル含まず) ソーサー 直径 12.9cm |
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