王冠について。ア
ンティークを集めていると、時々イニシャル(モノグラム)や王冠、紋章などが刻まれている、もしくはデザインされているものがときどきございます。これは注文により刻まれるものですが、これが非常に意義のあるもので、その品物のアイデンティティを探る手掛かりとなります。特に紋章があるとその価値は、ないものに比べて圧倒的に価値があります。 今回はその中でも王冠についての見ていきます。王冠は基本的には貴族に付けられるものですが、品物に彫られるかどうかはまた別の話です。国や時代、注文方法によって異なります。また王冠にも種類があります。王冠の種類は意味がないといわれることもありますが、どうなのでしょうか。古い資料をみてみます。

これはフランスの銀器メーカーの19世紀末のカタログより抜粋したものです。
これらのモノグラムや王冠はオプションで別途料金を支払って彫られました。フランスの場合、通常モノグラムのみ、王冠のみ、王冠+モノグラムというものがほとんどです。上手のものだと紋章まるごと彫られることもあります。
今回注目するのは王冠の種類です。中央に5個あり、左上が「Baron」(男爵)、右上が「Comte」(伯爵)、中央が「Marquis」(侯爵)、左下が「Vicomte」(子爵)、右下が「Duc」(公爵)となっています。爵位としては上から公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵の順となります。
この王冠を紐解くにはまず、実物の王冠のデザインを知る必要があります。
【実物の冠のデザイン】
・公爵冠…8枚の苺の葉
・侯爵冠…苺の葉と銀色の丸飾りが交互に計8つ
・伯爵冠…8枚の苺の葉と8個の丸飾りが交互に計16つ
・子爵冠…18個の丸飾り
・男爵冠…6個の丸飾り
となります。
これをアンティークの銀器やガラス、陶磁器など平面状のものにデザインすると、
・公爵冠…5枚の苺の葉
・侯爵冠…3枚の苺の葉の間に丸飾り2個
・伯爵冠…9個の丸飾り
・子爵冠…3つの丸飾りの間に小さい葉が2個
・男爵冠…4つの丸飾り ※葉はデザインされ、宝石や他のものに置き換わることが多い。
となります(多少違うこともある)。

上記は1900年初頭のフランスのガラス工房のカタログからですが、おおむね前述の描き方と一緒です。ただ、Baron(男爵)がこちらは宝石モチーフとなっており、少しデザインが異なるが、装飾は4つと同じです。 このように王冠のデザインにより、どの身分の人が注文した方がわかることがあります。ただ、貴族だからと言って、必ず王冠を彫らなきゃいけなかったわけではないと考えられますので、王冠が彫られていたらラッキーと考えると良いかもしれません。

これはイギリスの1900年初頭の銀器のカタログより抜粋したものです。イギリスの場合は一般的にクレストをデザインすることが多いので、フランスやドイツ系ほど王冠のものはありませんが、ときどきやはり王冠を用いたものもでてきます。