
作品番号:17.203.2
Rogers Fund, 1917
Public Domain / CC0 · 所蔵品記録
帝政期のパリを代表する磁器工房。1780年にルメール(Lemaire)がポパンクール通りに設立された工房を1783年にジャン・エルマン・ナスト(Jean Népomucène Hermann Nast)が買収し活動を始める。1789年にアマンディエ通りに工場を移した。金彩の新しい技術やクロム元素を発見したルイ=ニコラ・ヴォークランと協力し、クロムグリーンを作り出したり、ルイ・ピエール・シルト(Louis Pierre Schilt)といった優れた画家を登用するなど、頭角を現し、息子たちも工房に入り活躍(1817年にジャンは死去、息子たちが引き継いだ)。1806年にはアメリカのホワイトハウスにも納めた。1819年のパリ産業博覧会で金メダルを受賞、そのとき訪れたルイ18世に称賛された。その生産は単なる食器にとどまらず、フィルターコーヒーメーカーなども製造した。1835年工場閉鎖。
詳しい解説
ナストの製品は食卓用のサービスだけでなく、花瓶、コーヒーポット、スープ入れ、化粧用の器、時計を組み込む品、人物像や照明器具にまで及びます。日常の器と室内を飾る調度品をともに扱い、書籍では丁寧な絵付けと調和の取れた色彩が特徴として挙げられています。器種の幅広さは、パリの磁器工房が生活空間全体へ製品を供給していたことを示しています。
署名には「Nast à Paris」、大文字の「NAST」、組み合わせた頭文字などがあり、発明特許を示す文言を伴う例も紹介されています。印の文字形や長短には変化があるため、一種類の印だけを基準にすることはできません。また、同じポパンクール通りには別の工房もあったので、地名だけでナストと決めず、署名全文と器の装飾を併せて確かめる必要があります。
詳しい解説の出典
- Geneviève Le Duc et Henri Curtil『Marques et signatures de la porcelaine française』、Éditions Charles Massin、印刷119–120頁