グラスには様々な大きさや形状があります。特にアンティークの場合、現代とは根本的に大きさが異なるので余計ややこしいです。
そこで、昔のカタログを基に何に使われていたのか、現代とはどう異なるのか考えてみたいと思います。
グラスの種類 ~1916年バカラのカタログを基に~
バカラが1916年に発行した公式カタログには、ナンシー(Nancy)というモデルが他のモデルより細かく用途別に掲載されています。これを基に何用であったのかご紹介します。

グラスの大きさ別(バカラ)
1.水用(大)
2.水用
3.ブルゴーニュワイン用
4.モーゼルワイン用 ※モーゼルワインとはモーゼル川流域のワイン
5.ボルドーワイン用
6.マデラワイン用 ※マデラ(マデイラ)ワインとはポルトガルのマデイラ島で作られる酒精強化ワイン
7.ポルトワイン用 ※ポルト(ポート)ワインとはポルトガルの甘口の酒精強化ワイン
8.リキュール用
9.リキュール用(小)
10.シャンパン用(クープ)
11.シャンパン用(フルート)
12.ラインワイン用(低ステム) ※ラインワインはドイツのライン川流域のワイン
13.ラインワイン用(長ステム)
上記のように大きさ別で細かく分類がされています。現在でも用途別に販売しているメーカーは多いですが、その内容はやはり現代とはちがいます。そして、ドイツワインはほとんどが白ワインであり、上記のラインワイン用やモーゼルワイン用は白ワイン用と捉えられます。
サイズも現在とは異なります。アンティークのものですと、デザインにもよりますが一番大きな水用で14cm~16cmほど、一番小さなリキュール用で8cmほどがよくみられます。サイズについては良い例があるので次にご紹介します。
グラスの大きさ ~1899年ルグラのカタログを基に~
次はアール・ヌーヴォー期に活躍したルグラのカタログからご紹介します。ルグラは工芸ガラスで有名ですが、一般のガラスも多く製造していました。1899年のカタログよりグラスの記述をご紹介します。

ガラスの大きさ(ルグラより)
上記はそのカタログの一部で、2種(300と301)の価格表とデザインを合わせたものです。このカタログにはサイズ別の用途は書かれていませんが、主に前述のバカラとほぼ同じであると考えられます。
1.水用
2.ワイン用(ブルゴーニュ、ボルドーなど赤ワイン)
4.ラインワイン用(白ワイン)
5.ポートワイン用
6.リキュール用
flute.シャンパン用(フルート)
coupe.シャンパン用(クープ)
といった感じであると思われます。
価格表をみるとそれぞれのサイズが掲載されています。一番大きい水用で16cm、一番小さなリキュール用で8cmとあります。このサイズは一般的な当時のグラスのサイズでもあります。現代では通常のワイングラスでも17~19cmが普通ですので、いかに現代が大きくなったかがわかります(ここでは単純に高さだけで比べていますが、容量も現代ではかなり増えています)。また、シャンパンがフルート型とクープ型なのは昔から変わりませんね。