出典:メトロポリタン美術館

ワイングラス 1740年頃
シレジアの特徴的なグラス。丁寧にロココのエングレーヴィング装飾が施されている。

17世紀まではガラスの世界ではヴェネチアンガラスが席巻しており、ヨーロッパ各地ではヴェネチアンガラススタイルのガラスが製造されていたが、イギリスの鉛ガラス、ボヘミアのカリガラスの発明により透明度の高いグラスが登場し、ガラスの勢力図は一変した。神聖ローマ帝国各領地では17世紀後半以降、各地で急速にガラス産業が発展していった。なかでもザクセン地方や、ボヘミア、シレジアといった地域ではガラス産業が発展していった。ボヘミアなどではソーダ灰の代わりとなる木灰を使用したガラスが製造され、シレジアでは17世紀末よりイェレニャ・グラ(ヒルシュベルク)を中心にグラヴィール技術が非常に発達し、各国の王族貴族から注文を受け制作をしていた。バロックやロココの様式はもちろん、貴族の生活風景など様々なデザインで製造された。ところが、オーストリア継承戦争(第一次・第二次シュレージエン戦争)、そして七年戦争(第三次シュレージエン戦争)と長い戦争の過程でシレジア・ボヘミアのガラス産業は荒廃し、その見事な技術は衰退していくこととなった。

出典:グリーブランド美術館

ティーポット 1723年~1724年

磁器はもともと中国や日本が栄えていたため、東洋趣味のデザインは良く模倣され、現代にいたるまで多大な影響を受けている。

ハプスブルク家を中心とするアンティークは、栄えていたということもあり、非常に高品質なものが多いことが特徴としてあげられる。磁器にしろガラスにしろその他工芸品にしろ最高のものが製造されており、後世においてもこの時代の品物が基礎となっていることが多分にある。19世紀後半に流行した歴史主義はその代表的な例であり、マイセンをみても、この時代のモデルを今でも多く製造している。

【参考文献】
『世界ガラス美術全集 2 ヨーロッパ』(由水常雄、求龍堂、1992年)

『GLAS 1500-HEUTE』(Michael Kovachek、1993年)

『FROM NEUWELT TO THE WHOLE WORLD / 300 Years of Harrach Glass』(Jan Mergl、2012)

『ボヘミアン・グラス600年の輝き』(日本テレビ放送網、プラハ国立工芸美術館、1994年)

『BERLIN PORCELAIN』(Anne R. Gossett、1980年)

『MEISSEN PORCELAIN』(Jim&Susan Harran、2006年)