製造国表記からみるアンティークの年代推定方法
アンティークにみられる製造元表記は、
A.表記なし
B. 製造元の名前のみ、もしくは販売元(小売店)の名前のみ、もしくはその両方
C. B+地域名(PARISやLONDONなど)
D. B+国名(ENGLANDやFRANCEなど)
E. B+Made in 国名(Made in EnglandやMade in Franceなど)
このパターンがほとんどかと思います。そしてこの表記は、基本的に上から下へいくほど新しい表記となります(あくまでも基本的にはです)。現在ではほとんどEパターンですね。これは時代が新しくなるにつれてグローバル化、貿易の発達が背景にあります。
その背景と法律の歴史
もともと、原作国表示が定められたのは、1887年の「Merchandise Marks Act 1887」というイギリスの法律で、それ以前は原産国表示は必要ありませんでした。この法律はドイツ製の大量輸入に対するイギリスが国産保護のためで、「Made in」は必須ではなく、単純に原産国表示というものでした。そして世界的にそのルールが定められたのが、1891年の「Madrid Agreement for the Repression of False or Deceptive Indications of Source on Goods」(虚偽の又は誤認を生じさせる原産地表示の防止に関するマドリッド協定)でした。これ以降、輸出入される商品には原産国表示が義務となりました(日本が批准したのは1953年ですが)。例えばイギリスの磁器などでも1891年から「COALPORT ENGLAND」「MINTONS ENGLAND」のように「ENGLAND」表記がされるようになりました。この時点でも「Made in~」はほとんど使用されていません。
ではいつから「Made in ~」が一般的に使用されているのでしょうか。それは主に1920年代からとなります(一部では1910年代からでも使用していたとこもある)。そして決定的となったが、アメリカの連邦規則集19CFR134条「Country of Origin Marking」による規定で、アメリカに輸入される商品には永続的にわかる形での原産国表示が定められました。その表記方法は「Made in ~」「Product of ~」、原産国と組み立て国が異なる場合は「Assembled in 組み立てた国 from components of 原産国」と定められました(組み立て製品の場合)。アメリカの市場規模は最大でしたので、当然それが世界的に使用されました。
まとめ
1891年~ 原産国表示(単なる国名表示)が世界的な標準となる。※基本的に
1930年~ 「Made in」「Product of」の表示が世界的な標準となる。※基本的に
ということになります。ただ、「Made in」は1920年頃から一般的になり始めてましたし(もしかしたらそれに関する法律もあるかもしれません)、それ以前から自主的に使用していた場合は別です。また、例外などもあるので、参考程度ですが、結構役に立ちます。ついでに1880年代までは国名ではなく、それぞれの地域名を記載することが一般的でした「LONDON」「PARIS」など(もしくは地域名も記載なし)。もちろんこれは輸出を想定したものですので、完全に輸出を想定していない国内向けのものは関係ありません。ただ少なくとも「Made in」表記があったら、アンティークと考えるのはやめたほうが良いです。少なくとも18世紀の可能性はなく、19世紀の可能性も限りなく低いでしょう。また、今回は磁器を例に例えましたが、これは国際貿易上の取引に関する国際法律によるものですので、様々なアンティークに当てはめることが出きます。
※シールなどで対応している場合もありますので、原産国表記がないからといって古いとも限りません。