フリードリヒ大王の肖像が彫られたグラス。シレジアらしい見事なエングレーヴィング技術による装飾です。様式としてはロココが流行し始めたころで、バロックの名残がありながらも、ロココらしい繊細で軽やかさがある。
裏側に以下の文が彫られています。
“Es lebe durch des himels gnade der König der uns helffen kan so schlagt er mit der macht parade noch allzeit 80000 Mann”
「天の恵みによって、我らを助けることのできる王が長く生きんことを。そうすれば、彼はいつでも8万の軍勢を率いて威容を示すだろう」
戦争での勝利を願っているわけですが、ポイントは8万の軍勢です。
エクセター大学教授編集による『European Warfare』のなかの「Warfare in the Old Regeme 1648-1789」で、プロイセン軍がちょうどオーストリア継承戦争の始まった1740年ごろに拡大し、1740年で77000人、そして5年後の1745年には13万5千人になっています(それ以外の時期に8万前後のときはない)。なので、このグラスは継承戦争初期(1740年代初)のものであることが判明します。
グラス素地の出来や装飾の具合も合致し、全体の作風と描かれている内容に相違がないことがわかります。
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参考文献&来歴 / Bibliography & Provenance
・Fachbuch Schlesische Glas, Schlesische Gläser(Dietmar Zoedler、1996)
・Warfare in the Old Regeme 1648-1789(『European Warfare』Jeremy Black、2020)
