ガレ

出典: メトロポリタン美術館

花瓶 Galle 1896年
第一工房期ガレの花瓶。半透明のガラスの上に赤色のガラスを被せ、酸化腐食彫りの技法でカメオのように色合いの変化をつける技法が流行した。

アール・ヌーヴォーの工芸品といえば、なんといってもガラスである。エミール・ガレやドーム兄弟などナンシーを中心に多大な影響がみられた。単純にデザインが新しいというだけでなく、第二次産業革命による新しい技術の発展もあり、多くの名品が製造された。特にガレは命のはかなさなどを表現するなど、ガラスに魂を吹き込んだともいわれるほどであった。1901年にはガレを会長とするナンシー派が設立され、副会長にはルイ・マジョレル、アントナン・ドーム、ヴァランが選任され、理事会は36名によって成り立った。

家具

出典:メトロポリタン美術館

キャビネット 1900年頃
エミール・ガレの製品。曲線を活かしたデザインと、マルケトリーによる装飾。。

ラリック

出典:パリ市近代美術館メデューサ展

ネックレス 1899年~1900年
ルネ・ラリックの作品。エナメルにダイヤモンドやペリドットの宝石、そしてガラスが使用されたネックレス。

ジュエリーの分野でもアール・ヌーヴォーは流行した。ルネ・ラリック、ジョルジュ・フーケ、ルシアン・ガイヤールなどが活躍した。単に宝石を使うのではなく、エナメルによる彩色が流行し、特にステンドガラスのようなプリカジュールが流行した。

ドイツなど中欧やオランダでは「ユーゲント・シュティール(Jugendstil)」として流行した。名前の由来は雑誌『ユーゲント』からで、「青春様式」を意味する。磁器ではマイセンやKPMなど、ガラスではテレジアンタールなど、銀器でも多くユーゲント・シュティールの作品は製造された。

椅子

出典:ウルフソニアン博物館

椅子 1900年頃
ドイツのデザイナー、ペーター・ベーレンスによる椅子。アール ・ヌーヴォーとはまた異なる雰囲気がある。

花瓶

出典:スミソニアン博物館

花瓶 1900年
オランダ、ローゼンブルクの製品。柔らかい曲線美の花瓶。

陶磁器でも大きな影響があった。フランスのセーヴルやリモージュなどの磁器はもちろんだが、フランスでは特にバルボティーヌが高い人気を誇った。大胆で鮮やかな色合いが特徴的で、多くの窯で製造された。イギリスにおけるアール・ヌーヴォーの陶磁器は案外少ない。オランダのローゼンブルクやデンマークのコペンハーゲン、スウェーデンのロールストランドなど各国の窯でアール・ヌーヴォー様式の作品が製造された。

アール・ヌーヴォーは、アメリカの好景気などにも押され、高級志向の作りが多く、デザイン、技術ともに優れているのが特徴的であり、またエミール・ガレのように産業芸術家として多くの工芸家が活躍した。フランスではベル・エポックと重なる時期でもあり、アメリカの好景気にも支えられた。1914年、サラエボ事件をきっかけに第一次世界大戦が勃発し、多くの国を巻き込んだこの戦争は工芸の世界も一変させた。職人は戦争に参加、多くの工房が生産停止に追い込まれるなど、アール・ヌーヴォーの終焉へと向かわせることとなった。

【参考文献】

『アール・ヌーヴォー アール・デコ』(別冊太陽、平凡社、1994年)