11TH AVENUE · REFERENCE

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素材、技法、様式。その言葉から、作品を深く読む。

173 項目出典付き用語辞典分野から探す・言葉で探す

173 項目

見出しを押すと、説明・歴史・出典が開きます。

図像・装飾

アカンサス文様

Acanthus ornamentアカンサスの葉を用いた装飾文様。彫刻や額縁などに用いられる。

アカンサスの葉を用いた装飾文様。彫刻や額縁などに用いられる。

歴史・用例

17世紀の具体例として、ボローニャで1640年頃に作られた松材の透彫額縁に、アカンサスの葉が用いられている。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

参照先はメトロポリタン美術館所蔵の、葉の透彫を施した17世紀の額縁。文様だけで制作年代は決まらない。

出典・参照箇所

絵画・版画

アクアチント

Aquatint金属板上の樹脂粒の間を腐食させ、線ではなく面の明暗を表す凹版技法。エッチングの線と組み合わせることもある。

金属板上の樹脂粒の間を腐食させ、線ではなく面の明暗を表す凹版技法。エッチングの線と組み合わせることもある。

歴史・用例

18世紀に普及し、ゴヤは1799年刊行の《ロス・カプリーチョス》などで陰影の表現に活用した。

歴史・用例の出典

出典・参照箇所

ジュエリー・宝石

アクロスティックジュエリー

Acrostic jewellery宝石名の頭文字を順に読むと、言葉や名前になる宝飾品。たとえばruby・emerald・garnet・amethyst・ruby・diamondでREGARDを表す。

宝石名の頭文字を順に読むと、言葉や名前になる宝飾品。たとえばruby・emerald・garnet・amethyst・ruby・diamondでREGARDを表す。

歴史・用例

1820〜1830年代の英国で人気を集め、ヴィクトリア時代にも家族や恋人への思いを託す宝飾品として作られた。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

宝石の並びを読む言語や、後世の石の交換に注意する。作者や贈り主はメッセージだけでは特定できない。

出典・参照箇所

関連語

ロケット

状態・修復

甘手

Amade(日本の市場用語)焼き上がりが十分に締まっていないと見なされる陶磁器に使う慣用語。「焼きが甘い」という評価を表し、釉の光沢が乏しいものや貫入の多いものについて使われることもある。

慣用的使用

焼き上がりが十分に締まっていないと見なされる陶磁器に使う慣用語。「焼きが甘い」という評価を表し、釉の光沢が乏しいものや貫入の多いものについて使われることもある。

歴史・用例

日本の古陶磁の取引や状態説明で使われる。使い始められた時期は確認できていない。

用語を使う際の注意

用法には幅がある。貫入や光沢の状態だけで焼成不足・焼成温度・強度を確定するものではなく、見える状態を併記する。

用法の位置付け

日本の骨董分野での慣用的使用を説明する項目です。語義・初出年代を裏付ける学術資料は未確認です。

関連語

貫入/窯傷/焼成亀裂

図像・装飾

アレゴリー/寓意

Allegoryある主題を別の主題の姿で表すこと。人物によって愛・視覚・美などの抽象概念を表す場合がある。

ある主題を別の主題の姿で表すこと。人物によって愛・視覚・美などの抽象概念を表す場合がある。

歴史・用例

ルネサンスから1800年頃まで絵画に頻繁に登場し、メダルや書籍の扉絵にも広く使われた。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

持物や人物の同定ができても、意味の解釈が一つに決まるとは限らない。

出典・参照箇所

来歴・保存・記述

アンティーク

Antique古い工芸品や美術品を指す語。美術史の文脈では古代ギリシア・ローマを意味する場合もある。

古い工芸品や美術品を指す語。美術史の文脈では古代ギリシア・ローマを意味する場合もある。

歴史・用例

日本の関税表97.06では製作後100年を超える物品を扱うが、これは関税分類の基準であり、すべての美術上の用法を決める規則ではない。

歴史・用例の出典

出典・参照箇所

様式・運動

アーツ・アンド・クラフツ

Arts and Crafts工芸の仕事と日常生活のデザインを見直す運動。英国でのラスキンやモリスの思想を背景に、素材・製作・職人の役割を重視した。

工芸の仕事と日常生活のデザインを見直す運動。英国でのラスキンやモリスの思想を背景に、素材・製作・職人の役割を重視した。

歴史・用例

19世紀後半の英国で展開し、1888年の展覧会では陶磁器・織物・金属器・家具などの仕事が紹介された。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

単一の文様や外観だけで定義する様式ではない。

出典・参照箇所

様式・運動

アール・デコ

Art Deco主に1920〜30年代の装飾美術を捉える名称。多様な地域・時代の造形源を取り込み、豪華な素材や近代的なデザインが共存する。

主に1920〜30年代の装飾美術を捉える名称。多様な地域・時代の造形源を取り込み、豪華な素材や近代的なデザインが共存する。

歴史・用例

1925年パリ装飾芸術博覧会が重要な舞台となり、1920〜1930年代の家具・ガラス・銀器などに展開した。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

名称は後世に定着したもので、完全に均質な一様式と考えない。

出典・参照箇所

様式・運動

アール・ヌーヴォー

Art Nouveau19世紀末から20世紀初頭に広がった美術・デザインの潮流。自然に着想した線や、建築から生活用品までを関連づける造形が見られる。

19世紀末から20世紀初頭に広がった美術・デザインの潮流。自然に着想した線や、建築から生活用品までを関連づける造形が見られる。

歴史・用例

19世紀末から20世紀初頭に、建築・家具・ガラス・宝飾・広告などへ展開し、生活空間と日用品を横断する装飾となった。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

国や作家によって、曲線的な表現にも幾何学的な表現にも展開する。

出典・参照箇所

図像・装飾

イコノグラフィー/図像

Iconography特定の意味を伝えるために使われる、図像の種類や組合せの体系。作品の主題を読み解く際の手掛かりとなる。

特定の意味を伝えるために使われる、図像の種類や組合せの体系。作品の主題を読み解く際の手掛かりとなる。

歴史・用例

1505年のロレンツォ・コスタの《聖ペテロ》では、手に持つ天国の鍵が人物の同定を助け、宗教画の意味を読み解く手掛かりとなる。

歴史・用例の出典

出典・参照箇所

ガラス

イリデッセンス/銀化

Iridescence見る角度や光の方向で変化する虹色の光沢。古代ガラスでは風化層での光の干渉によって生じる。

見る角度や光の方向で変化する虹色の光沢。古代ガラスでは風化層での光の干渉によって生じる。

歴史・用例

古代ガラスには風化による銀化が見られる一方、19〜20世紀には虹色の光沢を意図的に作る装飾も行われた。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

19〜20世紀には意図的に同様の光沢を作る装飾もあるため、虹色だけで古代製と判断しない。

出典・参照箇所

関連語

クリズリング

絵画・版画

インパスト

Impasto絵具を厚く盛り上げる描き方。筆やパレットナイフの痕、表面の凹凸による光の反射が表現に関わる。

絵具を厚く盛り上げる描き方。筆やパレットナイフの痕、表面の凹凸による光の反射が表現に関わる。

歴史・用例

レンブラントは光の当たる箇所や衣装の宝飾表現に使い、後のゴッホは画面全体の表情を作る手段として積極的に用いた。

歴史・用例の出典

出典・参照箇所

絵画・版画

エッチング(版画)

Etching金属板の防蝕膜に描線し、露出した部分を酸で腐食させて凹みを作り、そこにインクを入れて刷る凹版技法。

金属板の防蝕膜に描線し、露出した部分を酸で腐食させて凹みを作り、そこにインクを入れて刷る凹版技法。

歴史・用例

16世紀初頭には版画制作に用いられ、酸で線を刻む方法が、版上に描くような自由な表現を可能にした。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

絵画のような自由な線を表現できるが、見た目だけで技法を確定しない。

出典・参照箇所

金属・七宝

エナメル/七宝(金属)

Enamellingガラス質の粉末を金属表面に焼き付ける装飾技法。色や透明度の異なるエナメルを用いる。

ガラス質の粉末を金属表面に焼き付ける装飾技法。色や透明度の異なるエナメルを用いる。

歴史・用例

12世紀のリモージュでは、七宝と金を施した銅を組み合わせた十字架が作られ、宗教用金工を彩っていた。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

ここでは金属工芸の用法を扱う。塗料のエナメルとは区別する。

出典・参照箇所

関連語

シャンルヴェ

ガラス

エナメル彩(ガラス)

Enamelled glass色の付いたガラス質の材料で器面に描き、加熱して焼き付けたガラス装飾。焼き付けないコールドペイントとは別の方法。

色の付いたガラス質の材料で器面に描き、加熱して焼き付けたガラス装飾。焼き付けないコールドペイントとは別の方法。

歴史・用例

英国の飲用グラスでは18世紀後半に用いられ、考古資料の技法解説でも器面に焼き付ける装飾として扱われている。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

金属を下地とする七宝と、ガラスを下地とするエナメル彩を分けて記す。艶のある塗料を意味する「エナメル塗料」とも混同しない。

出典・参照箇所

関連語

エナメル/七宝(金属)/シュヴァルツロート/フンペン

家具・室内装飾

エベニスト

Ébéniste18世紀パリの家具製作では、化粧張りを施した箱物家具を担当する職種。

18世紀パリの家具製作では、化粧張りを施した箱物家具を担当する職種。

歴史・用例

18世紀パリではメニュイジエと職域を分け、化粧張りを施した収納家具を製作する専門職として活動した。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

椅子などの無垢材家具を作るメニュイジエと職分を区別する。

出典・参照箇所

関連語

メニュイジエ/ヴェニア/化粧張り

ガラス

エングレーヴィング(ガラス)

Engravingガラス表面に細部を彫り込む装飾。研磨材を与えた回転する銅の円盤や、ダイヤモンドの先端などを用いる方法がある。

ガラス表面に細部を彫り込む装飾。研磨材を与えた回転する銅の円盤や、ダイヤモンドの先端などを用いる方法がある。

歴史・用例

18世紀オランダの飲用グラスには馬や出産の場面を彫った例があり、日常生活や祝いの主題を器に表す方法として使われた。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

日本語の「彫刻」だけでは技法が広いため、判明していれば加工法を添える。

出典・参照箇所

関連語

ダイヤモンドポイント彫刻/スティップリング(ガラス)

絵画・版画

エングレーヴィング(版画)

Engravingビュランなどで金属板に線を直接彫り、溝にインクを残して刷る凹版技法。

ビュランなどで金属板に線を直接彫り、溝にインクを残して刷る凹版技法。

歴史・用例

18世紀にも絵画の構図を広める複製版画に用いられ、1784年のモルゲンによるメングス作品の版画がその一例となる。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

酸で溝を作るエッチングとは版の作り方が異なる。

出典・参照箇所

金属・七宝

エンジンターン

Engine turning機械で金属表面に規則的な反復線や幾何学模様を彫る装飾。

機械で金属表面に規則的な反復線や幾何学模様を彫る装飾。

歴史・用例

18世紀後半以降、嗅ぎ煙草入れや時計ケースの機械彫りに使われ、透明エナメルの下に模様を見せる装飾にもなった。

歴史・用例の出典

出典・参照箇所

ガラス

オパールガラス

Opal glass白・灰・青みを帯びて半透明に見えるガラス。

白・灰・青みを帯びて半透明に見えるガラス。

歴史・用例

ガラスの外観を分類する名称として使う。オパールという宝石を原料にしたという意味ではない。

歴史・用例の出典

出典・参照箇所

ガラス

オパールセントガラス

Opalescent glass乳白の濁りやオパール状の見え方を示すガラス。文献によって複数の製法を含む。

乳白の濁りやオパール状の見え方を示すガラス。文献によって複数の製法を含む。

歴史・用例

19世紀後半には、被せた層や再加熱を利用して浮き上がった部分を乳白化する装飾が作られた。

歴史・用例の出典

出典・参照箇所

ジュエリー・宝石

オープンバック

Open-backed setting石座の背面を開き、石の裏側が見えるようにした構造。石を固定する爪や覆輪の種類とは分けて記述する。

石座の背面を開き、石の裏側が見えるようにした構造。石を固定する爪や覆輪の種類とは分けて記述する。

歴史・用例

1870年製のヴィクトリア女王の小型ダイヤモンド冠には、裏面の開いた石座が用いられている。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

背面が開いていることだけで新しい時代の品とは判断できない。後世の加工や石の交換も別に検討する。

出典・参照箇所

関連語

クローズドバック/覆輪留め

ジュエリー・宝石

オールドマインカット

Old mine cut丸みを帯びた四角い輪郭、小さなテーブル、高いクラウン、大きく開いたキューレットなどを特徴とする歴史的なダイヤモンドのカット。

丸みを帯びた四角い輪郭、小さなテーブル、高いクラウン、大きく開いたキューレットなどを特徴とする歴史的なダイヤモンドのカット。

歴史・用例

18世紀に遡る形式で、19世紀後半まで広く用いられ、現在のクッション形のカットとの比較にも取り上げられる。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

カット名だけで、特定鉱山の産出や採掘年代は証明できない。現代に同形式で研磨された石も区別して考える。

出典・参照箇所

関連語

ローズカット

金属・七宝

絵画七宝/ペインテッド・エナメル

Painted enamel / émail peint金属板などにエナメルで絵画的な図像を表す技法。金属線による区画や彫ったくぼみだけで文様を作る方法とは区別する。

金属板などにエナメルで絵画的な図像を表す技法。金属線による区画や彫ったくぼみだけで文様を作る方法とは区別する。

歴史・用例

リモージュでは1470年頃から銅板に宗教画を描く七宝が作られ、1530年頃以降は神話の主題や器物にも展開した。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

「リモージュ」とあるだけでは七宝とも磁器とも確定しない。下地が金属か陶磁かを記す。

出典・参照箇所

関連語

エナメル/七宝(金属)/クロワゾネ/有線七宝/シャンルヴェ/グリザイユ

状態・修復

欠け/ホツ

Chip / loss縁・高台・突起などの一部が失われた状態。「ホツ」は小さな欠けなどをいう国内骨董市場の呼び方。

縁・高台・突起などの一部が失われた状態。「ホツ」は小さな欠けなどをいう国内骨董市場の呼び方。

歴史・用例

美術館の貸出陶磁器でも、欠けはひびや旧修理と分けて記録・撮影され、輸送前後の状態比較に使われている。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

「小ホツ」などの程度表現だけにせず、欠損の幅・深さ・位置を示す。成形時の凹みとは区別する。

出典・参照箇所

関連語

そげ/削げ/釉剥げ

状態・修復

鎹継ぎ/ステープル修理

Staple repair / rivet repair破片の両側に穴を設け、金属の鎹やリベットでつないだ陶磁器の修理。英語ではstaple repairやrivet repairと記される。

破片の両側に穴を設け、金属の鎹やリベットでつないだ陶磁器の修理。英語ではstaple repairやrivet repairと記される。

歴史・用例

保存修復研究では19〜20世紀の作業文献を用いて技術が調べられ、過去の修理を歴史的証拠として扱う意義も論じられている。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

修理の存在と、修理された器の制作年代は別に記す。古い修理にも来歴上の意味があり、除去の是非は状態に応じて検討する。

出典・参照箇所

関連語

修復

ガラス

型吹き

Mould blowing / Mold blowingガラスを型の内部で膨らませ、型の形や文様を外側に写し取る成形法。

ガラスを型の内部で膨らませ、型の形や文様を外側に写し取る成形法。

歴史・用例

紀元1世紀初頭のローマ世界では分割型による型吹きが発達し、エンニオンらが文様のある器を製作した。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

型を使うという理由だけでプレス成形とは呼べない。

出典・参照箇所

関連語

吹きガラス/プレスガラス

ガラス

カット(ガラス)

Cutting / Cut glass回転する砥石などでガラス表面を削り、切子状の面や溝を作る加工。研削後に面を研磨する場合がある。

回転する砥石などでガラス表面を削り、切子状の面や溝を作る加工。研削後に面を研磨する場合がある。

歴史・用例

17世紀後半の中部ヨーロッパでは、無色ガラスの新しい配合が、水晶を思わせるカットや彫刻の器の製作を支えた。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

カット風の型文様と、実際に削った加工は区別して記述する。

出典・参照箇所

関連語

エングレーヴィング(ガラス)/プレスガラス

ジュエリー・宝石

カボション

Cabochon上面を滑らかな丸みのある面に整え、研磨した宝石の形。通常、上面にファセットを付けない。

上面を滑らかな丸みのある面に整え、研磨した宝石の形。通常、上面にファセットを付けない。

歴史・用例

19世紀末のアーツ・アンド・クラフツの宝飾では、大きなファセット石より、カボションの素材感を好む傾向があった。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

石の種類を表す語ではない。カボションという形だけでは天然・合成や処理の有無も判断できない。

出典・参照箇所

関連語

ローズカット/覆輪留め

状態・修復

窯傷/焼成亀裂

Firing crack / firing damage焼成工程で生じたと判断される亀裂などの製作時の損傷。市場では「窯傷」のほか、器種や傷に応じた呼称が使われる。

焼成工程で生じたと判断される亀裂などの製作時の損傷。市場では「窯傷」のほか、器種や傷に応じた呼称が使われる。

歴史・用例

2016年のV&Aの陶磁器展の状態調査でも、焼成時の損傷は細いひびや旧修理と区別して記録されている。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

使用後のひびと外見が似る場合がある。製作時の傷と判断した根拠を添え、分からない場合は発生時期を断定しない。

出典・参照箇所

関連語

ヘアライン(陶磁器の細いひび)/甘手

ガラス

カメオガラス

Cameo glass色の異なるガラス層を重ね、外側の層を彫刻・研削・酸処理などで除いて、背景から文様を浮き出させたガラス。

色の異なるガラス層を重ね、外側の層を彫刻・研削・酸処理などで除いて、背景から文様を浮き出させたガラス。

歴史・用例

古代ローマですでに作られ、19世紀後半には英国を中心に復興して、層の色差を生かす装飾ガラスとなった。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

カメオという名称だけでは、手彫りか酸処理かは決まらない。

出典・参照箇所

関連語

被せガラス/酸エッチング(ガラス)/カット(ガラス)

ガラス

カリ石灰ガラス

Potash-lime glassシリカ・カリ・石灰を主要成分とするガラス。

シリカ・カリ・石灰を主要成分とするガラス。

歴史・用例

硬さと輝きを生かし、カットや回転工具による彫刻を施す器に用いられた。

歴史・用例の出典

出典・参照箇所

図像・装飾

カルトゥーシュ

Cartouche装飾的な枠として構成された意匠。参照先には武具などのモティーフを組み合わせた枠の図案がある。

装飾的な枠として構成された意匠。参照先には武具などのモティーフを組み合わせた枠の図案がある。

歴史・用例

18世紀イタリアの図案には、剣・月桂樹・砲弾などを組み合わせた枠があり、軍事的な主題を示す装飾にも使われた。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

本項は西洋装飾の用法。個々の装飾物の意味は作品の文脈から読む。

出典・参照箇所

状態・修復

貫入

Crazing / crackle in glaze陶磁器の釉の層に生じる細かな亀裂。釉と素地の収縮差などで生じ、意図的に表現として利用される場合もある。

陶磁器の釉の層に生じる細かな亀裂。釉と素地の収縮差などで生じ、意図的に表現として利用される場合もある。

歴史・用例

現在の美術館の陶磁器調査でも独立した観察項目となり、釉の亀裂から汚れが素地に入り込んだ器の保存例が報告されている。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

素地の割れと同じではない。一方、貫入があることだけを理由に「無傷」「焼成不足」と断定しない。

出典・参照箇所

関連語

ヘアライン(陶磁器の細いひび)/甘手

絵画・版画

顔料

Pigment絵具の色を生み出す成分。媒材と組み合わせて絵具となり、材料ごとに劣化の仕方や速度も異なる。

絵具の色を生み出す成分。媒材と組み合わせて絵具となり、材料ごとに劣化の仕方や速度も異なる。

歴史・用例

19世紀には工業化学の発達で新しい緑色顔料が登場し、印象派の風景表現にも鮮やかな色彩を提供した。

歴史・用例の出典

出典・参照箇所

関連語

媒材

絵画・版画

キアロスクーロ/明暗法

Chiaroscuro明るさと暗さの対比によって立体感や形を示す表現。劇的な効果や感情への働きかけにも用いられる。

明るさと暗さの対比によって立体感や形を示す表現。劇的な効果や感情への働きかけにも用いられる。

歴史・用例

レオナルドは人物の立体感に、カラヴァッジョは劇的な演出に用い、16世紀前後から17世紀初頭の絵画に異なる効果を示した。

歴史・用例の出典

出典・参照箇所

ガラス

被せガラス

Casing / Cased glass異なる色のガラスを層として重ねる技法、またはそのガラス。上層を加工し、下層の色を見せる装飾の基礎にもなる。

異なる色のガラスを層として重ねる技法、またはそのガラス。上層を加工し、下層の色を見せる装飾の基礎にもなる。

歴史・用例

古代ローマのカメオガラスにも異色の層を重ねる構造が使われ、19世紀後半のカメオ復興でも重要な基礎となった。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

被せは層の構造、カメオはその層を利用した浮彫表現を指す。

出典・参照箇所

関連語

カメオガラス

来歴・保存・記述

帰属

Attribution誰が制作したかについての判断。様式、文書、科学的証拠などを基に、異なる確実性の段階で表す。

誰が制作したかについての判断。様式、文書、科学的証拠などを基に、異なる確実性の段階で表す。

歴史・用例

2013年のガラス史研究には、それまでムガル朝の器とされた鉢をレイヴンズクロフト作として再検討した例がある。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

作者名を無条件に断定する表記と「〜に帰属」は同じではない。

出典・参照箇所

関連語

「〜に帰属」表記/「〜の工房」表記/「〜の追随者」表記

金属・七宝

ギヨシェ・エナメル

Guilloché enamel機械彫りで規則的な模様を付けた金属の上に透明なエナメルを焼き付け、下の文様を透かして見せる装飾。

機械彫りで規則的な模様を付けた金属の上に透明なエナメルを焼き付け、下の文様を透かして見せる装飾。

歴史・用例

1900年頃のファベルジェの日傘の柄には、放射状の機械彫りを透明なピンクのエナメル越しに見せる例がある。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

ギヨシェは下地の彫り、エナメルはその上の層をいう。ギヨシェ模様だけの金属器と区別する。

出典・参照箇所

関連語

エンジンターン/エナメル/七宝(金属)/バスタイユ/低浮彫七宝

金属・七宝

銀製・銀無垢と純銀

Solid silver / Fine silver銀めっきと区別して、基体が銀または銀合金であることを示す「銀製・銀無垢」と、純度の高い銀を意味する「純銀」は分けて記述する。

銀めっきと区別して、基体が銀または銀合金であることを示す「銀製・銀無垢」と、純度の高い銀を意味する「純銀」は分けて記述する。

歴史・用例

銀器の表示では素材と品位の両方が問題になる。米国規則でも sterling や solid silver の表示に品位条件を設けている。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

「無垢」は100%の銀を意味するとは限らない。925など確認できる品位を併記し、語だけから純度を推定しない。日本ではスターリングシルバーまで純銀と含める場合で使用されるなど、決まりがあいまいである。

出典・参照箇所

状態・修復

釉剥げ

Glaze loss / flaking glaze陶磁器の表面で釉の層が部分的に失われたり、剥がれたりした状態。素地の欠けを伴うかどうかを別に確認する。

陶磁器の表面で釉の層が部分的に失われたり、剥がれたりした状態。素地の欠けを伴うかどうかを別に確認する。

歴史・用例

陶磁器の保存科学では、釉と素地の性質や環境の影響を分けて検討し、表面層の損傷を記述する。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

「釉抜け」のように製作時に釉が付かなかった部分と、後から失われた部分を、根拠なく同一視しない。

出典・参照箇所

関連語

そげ/削げ/欠け/ホツ/貫入

ガラス

クリスタッロ

Cristallo水晶に似た透明なガラスを指したヴェネツィアの名称。現存するものには灰色や褐色の色味も見られる。

水晶に似た透明なガラスを指したヴェネツィアの名称。現存するものには灰色や褐色の色味も見られる。

歴史・用例

コーニング美術館の辞典では名称の使用を14世紀ヴェネツィアに遡らせており、これは後世の製法改良の年代とは区別される。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

この歴史的名称を、鉛クリスタルの材質名と同一視しない。

出典・参照箇所

関連語

鉛ガラス/ファソン・ド・ヴニーズ

ガラス

クリスタルガラス

Crystal glass高い透明感や輝きを持つ上質なガラスを指す名称。鉛を含む製品に限らない用法がある。

高い透明感や輝きを持つ上質なガラスを指す名称。鉛を含む製品に限らない用法がある。

歴史・用例

歴史的に鉛ガラスと結び付く一方、現在は上質なテーブルガラスなどにも使われるため、配合と商品名称を分けて読む。

歴史・用例の出典

出典・参照箇所

関連語

鉛ガラス/クリスタッロ/カリ石灰ガラス

ガラス

クリズリング

Crizzlingガラス組成の不安定さに関係する劣化。大気中の水分の作用で、表面に細かな亀裂の網目や湿ったような状態が生じることがある。

ガラス組成の不安定さに関係する劣化。大気中の水分の作用で、表面に細かな亀裂の網目や湿ったような状態が生じることがある。

歴史・用例

17世紀後半のレイヴンズクロフトの初期ガラスでも問題となり、その改良史を検討するガラス史研究で取り上げられている。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

単なる汚れや装飾的な貫入とは区別する必要がある。

出典・参照箇所

関連語

イリデッセンス/銀化/保存(コンサベーション)

金属・七宝

クロワゾネ/有線七宝

Cloisonné金属線で区画を作り、その中にエナメルを焼き付ける装飾。

金属線で区画を作り、その中にエナメルを焼き付ける装飾。

歴史・用例

10世紀ビザンティンのイコン額縁の部材には、金と有線七宝を組み合わせた装飾が残っている。

歴史・用例の出典

出典・参照箇所

ジュエリー・宝石

クローズドバック

Closed-back setting宝石の裏側を金属で閉じた石座の構造。覆輪や爪など、表側で石を保持する方法とは別の観察項目。

宝石の裏側を金属で閉じた石座の構造。覆輪や爪など、表側で石を保持する方法とは別の観察項目。

歴史・用例

大英博物館の十字架形ペンダントにも、裏を閉じた金の構造に複数種の宝石を配した例が記録されている。

歴史・用例の出典

  • The British Museum — Cross pendant — 1978,1002.270:金の閉じた背面、真珠・ガーネット・エメラルドなどの配置(公開検索記録で確認)(参照日:2026-09-08)

用語を使う際の注意

裏が閉じていても、箔が入っているとは限らない。石の裏面や内側の処置を外観だけで断定しない。

出典・参照箇所

  • The British Museum — Cross pendant — 1978,1002.270:金の閉じた背面、真珠・ガーネット・エメラルドなどの配置(公開検索記録で確認)(参照日:2026-09-08)

関連語

オープンバック/フォイルバック/箔裏打ち/覆輪留め

絵画・版画

グリザイユ

Grisaille単色またはごく限られた色数で、明暗の変化によって形を表す描画。彫刻を模した絵画などにも用いられる。

単色またはごく限られた色数で、明暗の変化によって形を表す描画。彫刻を模した絵画などにも用いられる。

歴史・用例

15〜16世紀の北ヨーロッパでは、多翼祭壇画の扉の外側を描く際に好まれた。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

灰色だけに限定されず、褐色を主とする例もある。

出典・参照箇所

絵画・版画

グレーズ(絵画)

Glaze透明または半透明の絵具層を下の色に重ね、下層を見せながら色や明暗を調整する技法。

透明または半透明の絵具層を下の色に重ね、下層を見せながら色や明暗を調整する技法。

歴史・用例

ルーベンスは1632〜1633年頃の《ヴィーナスの誕生》で、グレーズとスカンブルを使い分け、少数の顔料で豊かな明暗と色調を表した。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

陶磁器のglaze=釉薬とは意味が異なる。

出典・参照箇所

関連語

釉薬

ガラス

コア成形

Core forming / Core-formed glass棒で支えた芯の周囲に熱いガラスを巻き付けるなどして器を作り、冷却後に芯を取り除く成形法。

棒で支えた芯の周囲に熱いガラスを巻き付けるなどして器を作り、冷却後に芯を取り除く成形法。

歴史・用例

紀元前15世紀にはエジプトとメソポタミアで器の製作に用いられており、吹きガラス登場以前の成形法に属する。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

「コアガラス」はこの方法で作った器を指す。吹きガラスとは別の成形法。

出典・参照箇所

関連語

吹きガラス

陶磁器

硬質磁器

Hard paste porcelainカオリン、長石、石英などを原料とし、高温で焼成する磁器。ヨーロッパ磁器史では軟質磁器と対比して用いる。

カオリン、長石、石英などを原料とし、高温で焼成する磁器。ヨーロッパ磁器史では軟質磁器と対比して用いる。

歴史・用例

ヨーロッパでは18世紀初頭のマイセンが製作の重要な拠点となった。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

硬質・軟質は単純な手触りの区別ではなく、原料や焼成に関わる分類。

出典・参照箇所

関連語

軟質磁器/磁器

絵画・版画

木口木版

Wood engraving木の木口面を使う凸版。19世紀の新聞や書籍の挿絵にも広く用いられた。

木の木口面を使う凸版。19世紀の新聞や書籍の挿絵にも広く用いられた。

歴史・用例

19世紀には活字と一緒に印刷しやすい利点から新聞・書籍の挿絵に多用され、ギュスターヴ・ドレの挿絵本も代表例となった。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

英語のengravingを、常に金属の凹版と訳さない。

出典・参照箇所

様式・運動

ゴシック

Gothicおよそ12〜16世紀の北ヨーロッパの建築や美術を捉える名称。尖頭アーチや、流れるような線を生かした人体・衣の表現などが特徴として挙げられる。

およそ12〜16世紀の北ヨーロッパの建築や美術を捉える名称。尖頭アーチや、流れるような線を生かした人体・衣の表現などが特徴として挙げられる。

歴史・用例

もとはイタリア人が北方の美術を呼んだ語で、今日ではおおむね12〜16世紀の北ヨーロッパの建築や美術に用いられる。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

建築の特徴を、すべての工芸品にそのまま当てはめない。

出典・参照箇所

金属・七宝

ゴールドプレート/金めっき

Gold plate基体の表面に金または金合金の層を設けたもの。金を主体とする無垢材とは区別する。

基体の表面に金または金合金の層を設けたもの。金を主体とする無垢材とは区別する。

歴史・用例

現在の米国の宝飾表示でも、電気めっきと機械的に接合した金張りなどを分けて説明している。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

厚さや方法は個別に確認する。「金メッキ」という名称だけで同じ仕様とはいえない。

出典・参照箇所

彫刻

彩色彫刻

Polychrome sculpture表面に色を施した彫刻。

表面に色を施した彫刻。

歴史・用例

古代以来の表現。現在の無彩色の外観が当初の姿とは限らない。

歴史・用例の出典

出典・参照箇所

ガラス

サルファイド

Sulphideガラスに封入する白い磁器状の小さな装飾物、またはそれを封入した作品。19世紀のヨーロッパやアメリカで用いられた。

ガラスに封入する白い磁器状の小さな装飾物、またはそれを封入した作品。19世紀のヨーロッパやアメリカで用いられた。

歴史・用例

19世紀のヨーロッパと米国で流行し、ヴィクトリア女王の肖像を封入したペーパーウェイトなどに使われた。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

名称をそのまま材質の硫化物と解釈しない。

出典・参照箇所

ガラス

酸エッチング(ガラス)

Acid etching酸によってガラス表面を腐食させ、文様や艶消しの面を作る装飾技法。耐酸性の被膜で保護した部分と露出部分の差を利用する。

酸によってガラス表面を腐食させ、文様や艶消しの面を作る装飾技法。耐酸性の被膜で保護した部分と露出部分の差を利用する。

歴史・用例

19世紀の商業的展開の一例として、英国リチャードソン社が1857年に特許を登録している。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

回転砥石で削るカットとは加工の仕組みが異なる。

出典・参照箇所

関連語

カット(ガラス)/カメオガラス

金属・七宝

シェフィールドプレート

Fused plate (Sheffield plate)銀と銅を熱で接合して圧延する銀張りの技法。電気めっきと区別する。

銀と銅を熱で接合して圧延する銀張りの技法。電気めっきと区別する。

歴史・用例

1742年頃に英国シェフィールドで開発され、18世紀には銀製品に代わる器として使われた。

歴史・用例の出典

出典・参照箇所

絵画・版画

支持体

Support絵画を支える物体や材料。板・キャンバス・銅板などがあり、それぞれに応じた準備をして描画する。

絵画を支える物体や材料。板・キャンバス・銅板などがあり、それぞれに応じた準備をして描画する。

歴史・用例

13世紀イタリアの祭壇画には板と額縁が一体の例があり、支持体の構造も当時の制作方法を伝えている。

歴史・用例の出典

出典・参照箇所

関連語

地塗り/下地

様式・運動

シノワズリー

Chinoiserieヨーロッパで形成された、中国への関心や想像を取り込む装飾表現。磁器への憧れや収集文化とも結び付く。

ヨーロッパで形成された、中国への関心や想像を取り込む装飾表現。磁器への憧れや収集文化とも結び付く。

歴史・用例

18世紀フランスではブーシェが中国風人物の版画を制作し、ロココの趣味と結び付いた装飾の流行を後押しした。磁器マイセンも多くシノワズリの作品を制作した。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

中国で作られた作品という産地表示ではない。

出典・参照箇所

金属・七宝

シャンルヴェ

Champlevé金属の地にくぼみを作り、その部分にエナメルを入れて焼き付ける装飾。くぼみは彫刻・鋳造・腐食などで形成する。

金属の地にくぼみを作り、その部分にエナメルを入れて焼き付ける装飾。くぼみは彫刻・鋳造・腐食などで形成する。

歴史・用例

1180年頃のリモージュ製十字架には内填七宝が用いられ、中世の宗教用金工における具体例となっている。

歴史・用例の出典

出典・参照箇所

関連語

エナメル/七宝(金属)

来歴・保存・記述

修復

Restoration損傷や変化のある作品の理解・鑑賞・使用を助けるための直接的な行為。元の材料を尊重し、外観を変える場合がある。

損傷や変化のある作品の理解・鑑賞・使用を助けるための直接的な行為。元の材料を尊重し、外観を変える場合がある。

歴史・用例

2008年のICOM-CCの整理では、絵画の補彩や割れた彫刻の再組立てなど、鑑賞・理解・使用を助ける作業が例に挙げられた。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

本項はICOM-CCの2008年用語整理による。

出典・参照箇所

ガラス

シュヴァルツロート

Schwarzlotセピア色のエナメルによる絵付。ステンドグラスに用いられ、のちにガラス器にも単独、または他の色や金と組み合わせて施された。

セピア色のエナメルによる絵付。ステンドグラスに用いられ、のちにガラス器にも単独、または他の色や金と組み合わせて施された。

歴史・用例

17世紀~18世紀のガラスで流行した。また19世紀の歴史主義により、多くリバイバルが製造された。

歴史・用例の出典

出典・参照箇所

金属・七宝

シルバープレート

Silverplate銀以外の地金に銀の層を被覆したもの。内部まで同じ銀合金でできた製品とは構造が異なる。

銀以外の地金に銀の層を被覆したもの。内部まで同じ銀合金でできた製品とは構造が異なる。

歴史・用例

1879年頃のドレッサー設計のティーポットにも使われ、銀めっきと黒檀を組み合わせた英国の食卓用品が作られた。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

銀張りには複数の製法があり、名称だけで電気めっきとは決められない。

出典・参照箇所

関連語

スターリングシルバー/シェフィールドプレート

様式・運動

新古典主義

Neoclassicism古代ギリシア・ローマの美術や建築を参照して展開した様式。18世紀のロバート・アダムの建築と室内装飾は、その重要な実例となる。

古代ギリシア・ローマの美術や建築を参照して展開した様式。フランスではナポレオンの時代の重なり、帝政様式と被るところもある。18世紀のロバート・アダムの建築と室内装飾は、その重要な実例となる。

歴史・用例

18世紀末に流行。ナポレオンのエジプト遠征がその流行にかかわる。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

単なる「古い様式」ではなく、古代を新たに読み直す動き。

出典・参照箇所

金属・七宝

真鍮/黄銅

Brass銅と亜鉛を主成分とする合金。青銅とは主要な添加成分が異なる。

銅と亜鉛を主成分とする合金。青銅とは主要な添加成分が異なる。

歴史・用例

1660〜1680年頃のロンドン製燭台には、真鍮に部分的なエナメルと鍍金を組み合わせた装飾例がある。

歴史・用例の出典

出典・参照箇所

関連語

ブロンズ/青銅

ジュエリー・宝石

Cキャッチ/C型留め具

C-catch / C-claspブローチの針先をC字状の受けに掛けて留める構造。針の蝶番と受けを、裏面で別々に観察できる。

ブローチの針先をC字状の受けに掛けて留める構造。針の蝶番と受けを、裏面で別々に観察できる。

歴史・用例

ブローチの裏側で針先を受ける部品として用いられ、針を動かす蝶番と組み合わせて衣服に固定する。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

C型だから19世紀製、といった年代の断定はできない。留め具だけが交換されている場合もある。

出典・参照箇所

家具・室内装飾

JME刻印

JMEパリの家具職人組合による品質確認に関係する刻印。jurande des menuisiers-ébénistesの略。

パリの家具職人組合による品質確認に関係する刻印。jurande des menuisiers-ébénistesの略。

歴史・用例

18世紀パリでは同業組合の検査で品質を認められた家具に加えられ、当時の製作・検査制度を示す印となった。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

作者名の刻印とは役割が異なる。

出典・参照箇所

関連語

エベニスト/メニュイジエ

絵画・版画

ジェッソ

Gesso石膏と膠などからなる伝統的な下地材。板絵や木地の金箔装飾のために、表面を平滑に整える。

石膏と膠などからなる伝統的な下地材。板絵や木地の金箔装飾のために、表面を平滑に整える。

歴史・用例

13世紀イタリアのマルガリト・ダレッツォの祭壇画では、板と額縁を布・ジェッソ・金箔・絵具で覆っていた。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

アルプス以北の板絵では白亜などの炭酸カルシウム系下地も使われる。

出典・参照箇所

関連語

地塗り/下地

ジュエリー・宝石

ジェット

Jet古い木材に由来する黒色の有機質宝石材料。彫刻・研磨して装身具などに用いる。英国ウィットビーの産地名がよく知られる。

古い木材に由来する黒色の有機質宝石材料。彫刻・研磨して装身具などに用いる。英国ウィットビーの産地名がよく知られる。

歴史・用例

19世紀の英国では服喪需要と結び付いて産業が発展し、1861年のアルバート公死後の王室の服喪も需要を後押しした。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

黒色ガラスのフレンチジェットとは別の素材。「黒い」「軽い」だけで材質や産地を確定しない。

出典・参照箇所

関連語

フレンチジェット/モーニングジュエリー/服喪宝飾

陶磁器

磁器

Porcelain高温焼成によって緻密になった、一般に白く透光性を持つ陶磁器。硬質磁器・軟質磁器など、材料と製法による違いがある。

高温焼成によって緻密になった、一般に白く透光性を持つ陶磁器。硬質磁器・軟質磁器など、材料と製法による違いがある。

歴史・用例

中国磁器への憧れを背景にヨーロッパでも製作研究が進み、18世紀初頭のマイセンで硬質磁器の開発に成功した。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

白い外観だけで磁器とは決められない。

出典・参照箇所

関連語

硬質磁器/軟質磁器/ラッティモ/乳白ガラス

絵画・版画

地塗り/下地

Ground絵を描く前に、支持体上に設ける準備層。材料や色は支持体や画家の制作法によって異なる。

絵を描く前に、支持体上に設ける準備層。材料や色は支持体や画家の制作法によって異なる。

歴史・用例

プッサンは赤系、レンブラントは褐色系の下地を好み、19世紀の印象派には白い下地を選ぶ画家がいた。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

キャンバスや板そのものは支持体であり、その上の下地と区別する。

出典・参照箇所

関連語

支持体/ジェッソ

様式・運動

ジャポニスム

Japonisme日本美術の受容によって西洋の造形や構図が影響を受けた現象。19世紀の版画や絵画に、日本の木版画を参照する例が見られる。

日本美術の受容によって西洋の造形や構図が影響を受けた現象。19世紀の絵画や工芸品に、日本の木版画を参照する例が見られる。

歴史・用例

19世紀後半の西洋では浮世絵の構図や日常の主題が受容された。特にサミュエル・ビングやフェリックス・ブラックモンはその流行に大きく関わる。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

日本の物を画中に描くことだけに限定しない。

出典・参照箇所

ガラス

徐冷

Annealing成形後のガラスを管理された条件でゆっくり冷やし、内部に残るひずみを抑える工程。急冷によるひずみは破損の原因になりうる。

成形後のガラスを管理された条件でゆっくり冷やし、内部に残るひずみを抑える工程。急冷によるひずみは破損の原因になりうる。

歴史・用例

古代ローマのカメオガラスも徐冷してから外層を削っており、装飾に先立つ製作工程として用いられていた。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

装飾名ではなく、製造工程の用語。

出典・参照箇所

関連語

吹きガラス

絵画・版画

スカンブル

Scumble暗い下層色の上に、より明るい色を薄く重ねる表現。

暗い下層色の上に、より明るい色を薄く重ねる表現。

歴史・用例

1632〜1633年頃のルーベンスの《ヴィーナスの誕生》にも用いられ、透明なグレーズと併せて多様な表面の質感を生み出した。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

同館の説明では、透明な暗色層によるグレーズと区別する。

出典・参照箇所

彫刻

スタチュエット/小像

Statuette小型の人物像などを指す語。大きな記念像とは異なる尺度で鑑賞する。

小型の人物像などを指す語。大きな記念像とは異なる尺度で鑑賞する。

歴史・用例

ルネサンス期には古代への関心と結び付いてブロンズ小像の制作・収集が広まった。

歴史・用例の出典

出典・参照箇所

金属・七宝

スターリングシルバー

Sterling silver銀を92.5%含む銀合金。残りの成分には通常、銅などを用いる。

銀を92.5%含む銀合金。残りの成分には通常、銅などを用いる。

歴史・用例

1800年製のジョージ3世時代のティーポットにも用いられ、英国の喫茶用銀器を作る素材だった。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

銀を表面に被覆したシルバープレートとは区別する。

出典・参照箇所

関連語

シルバープレート

ガラス

スティップリング(ガラス)

Stippling尖った道具で表面に細かな点を打ち、多数の点の集合で像を表す技法。

尖った道具で表面に細かな点を打ち、多数の点の集合で像を表す技法。

歴史・用例

18世紀のドルドレヒトやハーグで発展し、オランダのガラス装飾を特徴付ける技法となった。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

同館の辞典では、型で作る点状装飾にもこの語が使われる。点状に見えるだけで手作業と断定しない。

出典・参照箇所

関連語

ダイヤモンドポイント彫刻

絵画・版画

スフマート

Sfumatoはっきりした輪郭線を避け、明暗をなだらかにつなぎ、煙のように柔らかな境界を作る表現。

はっきりした輪郭線を避け、明暗をなだらかにつなぎ、煙のように柔らかな境界を作る表現。

歴史・用例

レオナルドの絵画に見られ、ヴェネツィアではジョルジョーネも、人物と周囲が融け合うような微妙な明暗表現を用いた。

歴史・用例の出典

出典・参照箇所

関連語

キアロスクーロ/明暗法

陶磁器

スリップ/泥漿

Slip粘土を水に分散させた液状の材料。器の表面を覆ったり、文様を描いたりするために用いられる。

粘土を水に分散させた液状の材料。器の表面を覆ったり、文様を描いたりするために用いられる。

歴史・用例

英国では17〜19世紀にスリップ装飾の陶器が作られ、18世紀末〜19世紀初めの皿にもその継続が確認できる。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

白い表層を見ただけでスリップと判断せず、釉薬との層の違いを確認する。

出典・参照箇所

関連語

釉薬

陶磁器

炻器

Stoneware高温で焼き締めた、硬く不透明で緻密な陶磁器。釉薬のあるものとないものがある。

高温で焼き締めた、硬く不透明で緻密な陶磁器。釉薬のあるものとないものがある。

歴史・用例

18世紀初頭のザクセンでは赤色のベトガー炻器が作られ、器だけでなく人物像にも用いられた。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

磁器のような透光性を前提としない。

出典・参照箇所

関連語

陶器/磁器

彫刻

石膏原型・石膏模型

Plaster model / Plaster cast石膏で形を保持した原型や模型。完成作から型取りした複製もある。

石膏で形を保持した原型や模型。完成作から型取りした複製もある。

歴史・用例

近代の彫刻工房では大理石制作の中間段階や、形を保存して再制作するために使われた。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

粘土から移した制作原型と、完成作から取った複製を区別する。

出典・参照箇所

様式・運動

ゼツェッション様式

Sezessionstilウィーン分離派の活動と結び付く、オーストリアの新しい美術・デザインの表現。建築や家具、印刷物などにも展開した。

ウィーン分離派の活動と結び付く、オーストリアの新しい美術・デザインの表現。建築や家具、印刷物などにも展開した。

歴史・用例

世紀転換期のウィーンで建築・家具・日用品に展開し、1903年の分離派展ポスターや1904年のホフマンの銀製籠にも見られる。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

分離派という組織・運動と、作品の様式上の呼称を区別して読む。

出典・参照箇所

状態・修復

そげ/削げ

Soge(日本の市場用語)陶磁器の縁や表面が、薄片状に浅く欠けたり削れたりした状態を指す国内骨董市場の呼び方。

陶磁器の縁や表面が、薄片状に浅く欠けたり削れたりした状態を指す国内骨董市場の呼び方。

歴史・用例

国内の骨董用語集では、厚みを伴う欠けを指す「ホツ」と分け、薄くめくれるような損傷の記述に使われている。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

大きさの統一基準はない。釉のみの剥離か素地を伴う欠けかを分け、写真と寸法を添える。

出典・参照箇所

関連語

欠け/ホツ/釉剥げ

ガラス

ソーダ石灰ガラス

Soda-lime glass主にシリカ・ソーダ・石灰からなるガラス。

主にシリカ・ソーダ・石灰からなるガラス。

歴史・用例

広い温度範囲で加工しやすく、複雑な形の器などにも使われてきた一般的な組成。

歴史・用例の出典

出典・参照箇所

彫刻

高浮彫

High relief背景から強く突出し、ほぼ丸彫りに近い部分を持つ浮彫。

背景から強く突出し、ほぼ丸彫りに近い部分を持つ浮彫。

歴史・用例

17世紀に好まれた表現で、背景に接続しながら強い立体感を与える。

歴史・用例の出典

出典・参照箇所

ガラス

ダイヤモンドポイント彫刻

Diamond-point engravingダイヤモンドを先端に用いた道具でガラス表面を引っかき、線を描く装飾技法。

ダイヤモンドを先端に用いた道具でガラス表面を引っかき、線を描く装飾技法。

歴史・用例

16世紀ヴェネツィアで普及し、17世紀ネーデルラントで高度に発展したガラス装飾である。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

点を重ねるスティップリングとは、線の作り方を区別する。

出典・参照箇所

関連語

スティップリング(ガラス)/エングレーヴィング(ガラス)

金属・七宝

チェイシング

Chasing金属の表から工具を当てて細部を整える加工。切削による彫りとは異なる。

金属の表から工具を当てて細部を整える加工。切削による彫りとは異なる。

歴史・用例

1850年頃のジョン・C・ムーア父子の銀器には、打ち出しの花文様をチェイシングで細かく仕上げた例がある。

歴史・用例の出典

出典・参照箇所

金属・七宝

鋳造

Casting溶融金属を型に流し込み、冷却して形を得る製法。

溶融金属を型に流し込み、冷却して形を得る製法。

歴史・用例

ドガの死後に残された蝋などの原型は鋳造によってブロンズ化され、原型制作と金属作品の製作時期が異なる例を生んだ。

歴史・用例の出典

出典・参照箇所

ジュエリー・宝石

爪留め

Prong setting / claw setting複数の金属の爪で石の縁を押さえる留め方。爪の数・先端の形・配置にはさまざまな形式がある。

複数の金属の爪で石の縁を押さえる留め方。爪の数・先端の形・配置にはさまざまな形式がある。

歴史・用例

尖った爪先の形は、ジョージアン期やヴィクトリア期の意匠を参照した現代の宝飾品にも用いられている。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

爪留め全体と、特定メーカーの六本爪デザインを同義にしない。留め方だけでは制作年代は決まらない。

出典・参照箇所

関連語

覆輪留め/パヴェ

ガラス

ツヴィッシェンゴルトグラス

Zwischengoldglasぴったり重なる二つのガラス器の間に、金箔や銀箔の文様を挟み込む装飾。18世紀のボヘミアやオーストリアで作られた。

ぴったり重なる二つのガラス器の間に、金箔や銀箔の文様を挟み込む装飾。18世紀のボヘミアやオーストリアで作られた。

歴史・用例

18世紀のボヘミアとオーストリアで作られ、紋章入りのビーカーなどに金銀箔の装飾を閉じ込めた。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

接着による構造で、融着させる古代のゴールドグラスとは区別される。

出典・参照箇所

彫刻

テラコッタ

Terracotta焼いて硬化させた粘土、およびそれによる造形物。

焼いて硬化させた粘土、およびそれによる造形物。

歴史・用例

彫刻では試作のモデルにも、独立した作品にも用いられる。

歴史・用例の出典

出典・参照箇所

陶磁器

転写(陶磁器)

Transfer printing版の図柄を紙などを介して器面へ移す方法。

版の図柄を紙などを介して器面へ移す方法。

歴史・用例

18世紀半ばのヨーロッパで展開し、同じ文様の反復生産を支えた。

歴史・用例の出典

出典・参照箇所

絵画・版画

テンペラ

Tempera広義には複数の媒材を指しうるが、通常は卵黄を媒材とする卵テンペラをいう。初期イタリア絵画で多く使われた。

広義には複数の媒材を指しうるが、通常は卵黄を媒材とする卵テンペラをいう。初期イタリア絵画で多く使われた。

歴史・用例

古代から用いられ、初期イタリア絵画の主要な媒材だったが、15世紀末には油彩と併用され、1500年以降は使用が減った。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

歴史的な絵画では油との併用もあり、年代によって一律に二分しない。

出典・参照箇所

関連語

媒材

陶磁器

デルフトウェア

Delftwareオランダやイギリス諸島で作られた錫釉陶器を指す名称。デルフト市の製品だけに限定しない用法がある。

オランダやイギリス諸島(イングリッシュ・デルフト)で作られた錫釉陶器を指す名称。デルフト市の製品だけに限定しない用法がある。

歴史・用例

デルフトでの生産は1600年頃に始まり、17世紀末には花器などを作る著名な生産地となった。中国磁器への憧れにより、デザインは中国磁器を参考にしたものが多い。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

デルフトで生産されたもののみではなく、オランダ全般、またはデルフト様式のものを指す場合が多い。

出典・参照箇所

関連語

ファイアンス/マヨリカ(イタリア錫釉陶器)

金属・七宝

電気めっき

Electroplating電流を利用し、地金の表面に別の金属を析出させる被覆法。

電流を利用し、地金の表面に別の金属を析出させる被覆法。

歴史・用例

1840年代に英国エルキントン社の特許を背景に広まり、ティーポットなどの銀めっき製品に用いられた。

歴史・用例の出典

出典・参照箇所

陶磁器

陶器

Earthenware焼成後も素地に吸水性が残る陶磁器の一群。釉薬をかけて器としての耐水性を補うものがある。

焼成後も素地に吸水性が残る陶磁器の一群。一般的に磁器より焼成温度が低い。

歴史・用例

フランス・ルネサンスの陶器には、16世紀のパリシー系作品のように鉛釉と立体的な装飾を組み合わせた例がある。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

日本語の陶器と英語のearthenwareは、文脈によって範囲が完全には一致しない。

出典・参照箇所

関連語

炻器/磁器

絵画・版画

トロンプ・ルイユ

Trompe-l’œil描かれたものが実物であるかのように、見る人の目を欺く表現。日本語では「だまし絵」ともいう。

描かれたものが実物であるかのように、見る人の目を欺く表現。日本語では「だまし絵」ともいう。

歴史・用例

17世紀オランダではサミュエル・ファン・ホーホストラーテンが室内の奥行きを錯覚させる絵画を制作した。

歴史・用例の出典

出典・参照箇所

ガラス

鉛ガラス

Lead glass / Lead crystal酸化鉛を多く含むガラス。屈折による輝きを生かした研磨カットの装飾に用いられ、リードクリスタルとも呼ばれる。

酸化鉛を多く含むガラス。屈折による輝きを生かした研磨カットの装飾に用いられた。日本ではクリスタルガラスというと、鉛クリスタルガラスを指すことが多いが、本来はクリスタルガラスは鉛ガラスのみを指すわけではない。

歴史・用例

ガラスに鉛を添付することは古い時代からあるが、17世紀後半の北西ヨーロッパで無色の鉛系ガラスが発展し、レイヴンズクロフトの発明が有名。1674年の特許そのものには配合の詳細が記されていない。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

ここでは歴史資料の材質名として扱う。現行の表示規格を定義する項目ではない。

出典・参照箇所

関連語

クリスタッロ/カット(ガラス)

陶磁器

軟質磁器

Soft-paste porcelainヨーロッパで東アジアの磁器を再現しようとする試みから生まれた磁器の一群。フランス初期の例では、硬質磁器とは異なる原料配合を用いた。

ヨーロッパで東アジアの磁器を再現しようとする試みから生まれた磁器の一群。フランス初期の例では、硬質磁器とは異なる原料配合を用いた。

歴史・用例

1740年頃に創設されたヴァンセンヌでは磁器の花が作られ、他窯の磁器と組み合わせた暖炉上の装飾品にも使われた。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

この項目は欧州磁器史での用法。地域を問わず同じ配合と考えない。

出典・参照箇所

関連語

硬質磁器/磁器

来歴・保存・記述

「〜に帰属」表記

Attributed toその作者による制作と考えられるが、作者の同定に不確実さを残す表記。

その作者による制作と考えられるが、作者の同定に不確実さを残す表記。

歴史・用例

美術館の目録では、作者本人の制作と考えられるが、確定には至らない場合の表示として使う。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

この説明は同館の用法。各カタログの凡例も確認する。

出典・参照箇所

来歴・保存・記述

「〜の工房」表記

Studio of同館の用法では、名を挙げた画家の弟子が、おそらくその指導下で描いた作品を示す。

同館の用法では、名を挙げた画家の弟子が、おそらくその指導下で描いた作品を示す。

歴史・用例

工房の共同制作という歴史的な制作体制を踏まえ、師本人の手と工房の関与を分けて記述するために使う。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

画家本人による全面的な制作を意味しない。

出典・参照箇所

来歴・保存・記述

「〜の追随者」表記

Follower ofある画家の様式を慕った作者による作品を示す。必ずしも直接の弟子ではない。

ある画家の様式を慕った作者による作品を示す。必ずしも直接の弟子ではない。

歴史・用例

作者と直接の工房関係を確定せず、作風の影響を受けた制作者を記述するために使う。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

工房で制作されたことを保証する表記ではない。

出典・参照箇所

絵画・版画

媒材

Medium / Media顔料の粒子を結び付ける成分。油や卵などの種類と、顔料との配合が、絵具の扱いや表現に影響する。

顔料の粒子を結び付ける成分。油や卵などの種類と、顔料との配合が、絵具の扱いや表現に影響する。

歴史・用例

15世紀末のイタリアでは卵テンペラと油彩が併用され、媒材の選択が変化する時期の絵画に両者が認められる。

歴史・用例の出典

出典・参照箇所

関連語

顔料/テンペラ

様式・運動

バウハウス

Bauhaus1919年にヴァルター・グロピウスがワイマールに創設した学校。美術・工芸・建築を結び付ける教育を掲げた。

1919年にヴァルター・グロピウスがワイマールに創設した学校。美術・工芸・建築を結び付ける教育を掲げた。

歴史・用例

1919〜1933年の活動の中で、1923年には量産を意識した設計を重視する方向へ転じ、家具・照明・食器などの試作を進めた。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

学校名と、その影響下のデザインや後世の様式呼称は区別する。

出典・参照箇所

金属・七宝

バスタイユ/低浮彫七宝

Basse-taille enamel低く彫った金属の文様を透明なエナメルで覆い、下地の凹凸を透かして明暗を見せる技法。

低く彫った金属の文様を透明なエナメルで覆い、下地の凹凸を透かして明暗を見せる技法。

歴史・用例

1391年にシャルル6世へ贈られたロイヤル・ゴールド・カップでは、聖アグネスの物語を表す装飾に使われている。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

単なる透明七宝の総称ではない。下地の浮彫とその見え方に着目する。

出典・参照箇所

関連語

エナメル/七宝(金属)/シャンルヴェ/ギヨシェ・エナメル

様式・運動

バロック

Baroque17世紀から18世紀前半のヨーロッパで展開した美術・建築・デザインの様式。壮麗な装飾、劇的な表現、見る人に強い印象を与える構成が特徴となる。

17世紀から18世紀前半のヨーロッパで展開した美術・建築・デザインの様式。壮麗な装飾、劇的な表現、見る人に強い印象を与える構成が特徴となる。

歴史・用例

17世紀から18世紀前半のヨーロッパで栄え、宮殿・教会の空間から肖像彫刻や豪華な器まで広い範囲に展開した。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

地域・媒体で性格は異なり、華美であることだけを判定基準にしない。

出典・参照箇所

家具・室内装飾

パスティーリャ

Pastigliaジェッソを盛り上げ、木地の上に低い浮彫を作る装飾。

ジェッソを盛り上げ、木地の上に低い浮彫を作る装飾。

歴史・用例

板絵や額縁の装飾に使われ、木地の上のジェッソを盛り上げたり彫ったりして細部を作る方法として説明される。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

木そのものを彫り出す方法とは構造が異なる。

出典・参照箇所

陶磁器

パターンブック

Pattern book製品の文様や配色などを記録した見本帳。陶磁器の製造現場で参照され、注文用のカタログとして使われた例もある。

製品の文様や配色などを記録した見本帳。陶磁器の製造現場で参照され、注文用のカタログとして使われた例もある。

歴史・用例

英国では1754年刊のチッペンデールの家具図案集のように、職人の製作資料と顧客の注文用見本を兼ねるものもあった。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

作品の番号と対応が確認できれば、製品名や仕様を調べる資料となる。

出典・参照箇所

ジュエリー・宝石

パヴェ

Pavé setting小さな宝石を密に並べ、微小な金属の粒や爪で留めて、石を敷き詰めたような面を作る技法・配置。

小さな宝石を密に並べ、微小な金属の粒や爪で留めて、石を敷き詰めたような面を作る技法・配置。

歴史・用例

指輪の腕や中央石を囲む部分に使われ、現在の宝飾技法の解説にも継続して見られるが、初出年代はここでは断定しない。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

単に石数が多いことだけを指さない。個々の石を支える地金の構造も確認する。

出典・参照箇所

関連語

爪留め/レール留め/チャネル・セッティング

陶磁器

ビスキュイ

Biscuit / Bisque焼成済みで釉薬を施していない状態。装飾品では、無釉の質感を生かした磁器彫像などを指す。

焼成済みで釉薬を施していない状態。装飾品では、無釉の質感を生かした磁器彫像などを指す。

歴史・用例

18世紀のヴァンセンヌやセーヴルでは、ブーシェの羊飼いなどの図案が無釉の磁器人形として立体化された。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

語源から焼成回数を一律に二回と解釈しない。

出典・参照箇所

関連語

磁器

金属・七宝

ピューター

Pewter錫を主成分とし、銅・アンチモン・鉛などを配合する合金。器物や食卓用品の歴史的な素材。

錫を主成分とし、銅・アンチモン・鉛などを配合する合金。器物や食卓用品の歴史的な素材。

歴史・用例

中世から19世紀中頃まで食器・杯・調理器などに広く使われ、銀とは異なる日常の金属器文化を支えた。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

古い品には鉛を含むものがある。名称から純錫とは判断できない。

出典・参照箇所

陶磁器

ファイアンス

Faience / Faïence西洋陶磁器史では、白い不透明な錫釉を用いる陶器に使われる名称。フランスの陶器を記述する際によく用いられる。

西洋陶磁器史では、白い不透明な錫釉を用いる陶器に使われる名称。フランスの陶器を記述する際によく用いられる。

歴史・用例

17世紀のヌヴェールでは神話画を描いた皿が作られ、1680年代には青・白・黄で飾る大型の水差しや花器が発達した。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

この項目は欧州陶器の用法であり、古代エジプトのファイアンスとは材質上の区別が必要。

出典・参照箇所

関連語

デルフトウェア/マヨリカ(イタリア錫釉陶器)

ガラス

ファソン・ド・ヴニーズ

Façon de Veniseヴェネツィア以外の土地で、ヴェネツィアの製品に倣って作られたガラス。16〜17世紀のヨーロッパ各地で流行した。

ヴェネツィア以外の土地で、ヴェネツィアの製品に倣って作られたガラス。16〜17世紀のヨーロッパ各地で流行した。

歴史・用例

ヴェネツィアから職人が流出し、各地にてその製造法とともに伝えた。それにより、ヨーロッパ各地でガラス産業が発展して、それぞれに独自のガラスを製造するようになっていった。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

様式上の呼称であり、ヴェネツィア製を意味しない。また19世紀の歴史主義により、リバイバルが非常に多い。

出典・参照箇所

関連語

クリスタッロ/フィリグラーナ

ガラス

フィリグラーナ

Filigrana無色・白色・有色のガラス棒を組み合わせて作る吹きガラスの総称。細い線状の模様が器の中に構成される。

無色・白色・有色のガラス棒を組み合わせて作る吹きガラスの総称。細い線状の模様が器の中に構成される。

歴史・用例

16世紀ムラーノで成立し、ヴェネツィア風ガラスを作るヨーロッパ各地へ広がった。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

金属線を用いるフィリグリーとは区別する。

出典・参照箇所

関連語

レティチェッロ/ファソン・ド・ヴニーズ

金属・七宝

フィリグリー/線細工

Filigree細い金属線を組み合わせて作る装飾。透かし状に構成したり、地金に取り付けたりする。

細い金属線を組み合わせて作る装飾。透かし状に構成したり、地金に取り付けたりする。

歴史・用例

7世紀後半のフランクの円盤形ブローチには金線細工が施され、衣服を留める装身具の装飾に使われていた。

歴史・用例の出典

出典・参照箇所

ジュエリー・宝石

フォイルバック/箔裏打ち

Foil backing / foiled setting石の裏側に箔を置き、見かけの色や反射に作用させる方法。石の種類・色と、裏打ちの効果を分けて考える必要がある。

石の裏側に箔を置き、見かけの色や反射に作用させる方法。石の種類・色と、裏打ちの効果を分けて考える必要がある。

歴史・用例

17世紀後半のドイツの教会宝物を調べた研究では、箔によって黄や橙に見える水晶が確認されている。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

クローズドバックと同義ではない。箔や接着材を傷める可能性があるため、構造不明の品を一律に水洗いしない。

出典・参照箇所

関連語

クローズドバック/ローズカット

来歴・保存・記述

フォクシング

Foxing紙に現れる黄・赤・褐色の斑点状の変色。微生物の作用や紙中の鉄分など、複数の原因が考えられている。

紙に現れる黄・赤・褐色の斑点状の変色。微生物の作用や紙中の鉄分など、複数の原因が考えられている。

歴史・用例

19世紀の銅版画や石版画の保存修復でも問題となり、米国国立肖像画美術館は南北戦争期の版画の処置例で取り上げている。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

見た目だけで原因を一つに断定しない。

出典・参照箇所

ガラス

吹きガラス

Blowing軟化したガラスに空気を入れて膨らませ、器などを成形する技法。吹き竿の先のガラスを、道具や型を用いながら整える。

軟化したガラスに空気を入れて膨らませ、器などを成形する技法。吹き竿の先のガラスを、道具や型を用いながら整える。

歴史・用例

紀元前1世紀のシリア・パレスチナ地域で登場し、それ以前の成形法より短時間で器を作れることがガラス器の普及につながった。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

吹きガラスには型を使う技法も含まれる。

出典・参照箇所

関連語

型吹き/プレスガラス

ジュエリー・宝石

覆輪留め

Bezel setting石の周囲を帯状の金属で囲み、その縁を倒して保持する留め方。全周を囲むものと一部を囲むものがある。

石の周囲を帯状の金属で囲み、その縁を倒して保持する留め方。全周を囲むものと一部を囲むものがある。

歴史・用例

1920〜1928年のマリー・ジンマーマンのブローチには、色石を個々の丸い覆輪状の枠に収めた例がある。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

石の裏が閉じているかどうかとは別の分類。覆輪留めでも、背面が開いた構造はありうる。

出典・参照箇所

関連語

爪留め/クローズドバック/オープンバック

ガラス

フルート

Flute細長く背の高い碗部を持つ脚付きの飲用グラス。

細長く背の高い碗部を持つ脚付きの飲用グラス。

歴史・用例

ワイン用グラスの形態を分類する名称として使われる。名称だけから製作年代は決められない。

歴史・用例の出典

出典・参照箇所

ジュエリー・宝石

フレンチジェット

French jetジェットを模した黒色のガラスを指す宝飾用語。ファセットを付けたビーズや装飾部品などに使われる。

ジェットを模した黒色のガラスを指す宝飾用語。ファセットを付けたビーズや装飾部品などに使われる。

歴史・用例

ヴィクトリア時代の宝飾収集史の研究では、ウィットビーのジェットと、フレンチジェットなどの模造材が区別して扱われている。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

名称だけでフランス製とは確定しない。天然のジェットと混同せず、ガラス製であることを明記する。

出典・参照箇所

関連語

ジェット/モーニングジュエリー/服喪宝飾

ガラス

フンペン

Humpen大きな円筒形の飲用器。16〜18世紀のドイツ・ボヘミア・シレジアの作例があり、エナメル装飾を施したものが多い。

大きな円筒形の飲用器。16〜18世紀のドイツ・ボヘミア・シレジアの作例があり、エナメル装飾を施したものが多い。

歴史・用例

16〜18世紀にドイツ・ボヘミア・シレジアで作られ、主にビールを飲むために使われたとされる。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

年紀が入っていることも多いが、実際にその年代に作られたわけではなかったり、後世に多く作られてもいる。

出典・参照箇所

金属・七宝

ブロンズ/青銅

Bronze基本的には銅と錫の合金。美術工芸品では他の金属を含む配合もあり、鋳造彫刻や器物などに用いられる。

基本的には銅と錫の合金。美術工芸品では他の金属を含む配合もあり、鋳造彫刻や器物などに用いられる。

歴史・用例

ルネサンス期には古代彫刻への関心とともにブロンズの小像が収集され、16世紀後半のフィレンツェではジャンボローニャらが製作した。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

色や商品名だけで合金組成を確定しない。

出典・参照箇所

関連語

真鍮/黄銅

金属・七宝

ブロンズ・ドレ

Bronze doré鍍金されたブロンズを指すフランス語。家具の装飾金具などの材質記載で用いられる。

鍍金されたブロンズを指すフランス語。家具の装飾金具などの材質記載で用いられる。

歴史・用例

18世紀の十字架用キリスト像にも使われ、ブロンズの造形に金の表面を与える宗教用金工の例が残る。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

金色の外観だけでこの材質と断定しない。

出典・参照箇所

家具・室内装飾

ブール・ワーク

Boulle work真鍮などの金属と鼈甲を切り分け、組み合わせて文様を作る家具装飾。アンドレ=シャルル・ブールの仕事で著名。

真鍮などの金属と鼈甲を切り分け、組み合わせて文様を作る家具装飾。アンドレ=シャルル・ブールの仕事で著名。

歴史・用例

1700年頃のパリ製キャビネットには真鍮と鼈甲の象嵌が施され、ブールに帰属する家具の具体例として所蔵されている。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

技法名だけで、ブール本人やその工房の制作と確定するものではない。

出典・参照箇所

関連語

マルケトリ

金属・七宝

プリカジュール

Plique-à-jour完成時に裏板を残さず、エナメルを光が透過するようにした七宝。

完成時に裏板を残さず、エナメルを光が透過するようにした七宝。

歴史・用例

1900年頃のニューヨークではマーカス社が花のブローチに用い、透過光を生かしたアール・ヌーヴォーの宝飾品を製作した。

歴史・用例の出典

出典・参照箇所

ガラス

プルント

Prunt器の表面に貼り付けた小さなガラスの塊。装飾となるとともに、取っ手のない器を握りやすくする役割もある。

器の表面に貼り付けた小さなガラスの塊。装飾となるとともに、取っ手のない器を握りやすくする役割もある。

歴史・用例

1608年のラインラント製レーマー杯にも付けられ、太い中空の脚に貼った突起が、回し飲みの際の滑り止めになったと解説されている。

歴史・用例の出典

出典・参照箇所

関連語

レーマー

ガラス

プレスガラス

Pressed glass溶融ガラスを金属型に入れ、押し型で圧力をかけて成形したガラス。外側と内側の形を別々の型面で決められる。

溶融ガラスを金属型に入れ、押し型で圧力をかけて成形したガラス。外側と内側の形を別々の型面で決められる。

歴史・用例

1820〜1830年に米国で機械化が進み、型で文様を写したガラス器を製作する方法となった。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

吹く工程で型に沿わせる型吹きと区別する。

出典・参照箇所

関連語

型吹き

絵画・版画

プレートマーク

Plate mark凹版をプレスで刷る際、版の外縁の圧力によって紙に残るくぼんだ輪郭。

凹版をプレスで刷る際、版の外縁の圧力によって紙に残るくぼんだ輪郭。

歴史・用例

大英博物館の1641年制作の版画の記録では、紙全体とは別に版の圧痕を基準とした寸法が記載され、作品の形態を記述する手掛かりとなる。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

作者の署名や工房印とは別のもの。

出典・参照箇所

来歴・保存・記述

プロヴェナンス/来歴

Provenance作品の所有の歴史。財産目録、所蔵記録、作品上の番号、オークション図録などを用いて調べる。

作品の所有の歴史。財産目録、所蔵記録、作品上の番号、オークション図録などを用いて調べる。

歴史・用例

ナショナル・ギャラリーの来歴調査では、ナチ時代の不当取得を検討するため、特に1933〜1945年の作品の所在に注意が払われる。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

販売者の説明を記録する際も、確認できた資料と未確認の伝承は分ける。

出典・参照箇所

状態・修復

ヘアライン(陶磁器の細いひび)

Hairline crack髪の毛のように細い亀裂を表す状態用語。陶磁器の商品説明では、素地に達するひびを釉面の貫入と分けて記す際に使われる。

髪の毛のように細い亀裂を表す状態用語。陶磁器の商品説明では、素地に達するひびを釉面の貫入と分けて記す際に使われる。

歴史・用例

2016年のV&Aの陶磁器展では、細いひびを貫入や欠けと区別して状態調書に記録している。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

線の細さだけでは深さや原因は分からない。「口縁から約○mm」のように位置・長さ・裏面での見え方も記す。

出典・参照箇所

関連語

貫入/窯傷/焼成亀裂

ジュエリー・宝石

ヘアワーク/毛髪細工

Hairwork人の毛髪を編む、巻く、配置するなどして、鎖・装飾・小さな図像を作る細工。毛髪を収めた記念宝飾品とも関わる。

人の毛髪を編む、巻く、配置するなどして、鎖・装飾・小さな図像を作る細工。毛髪を収めた記念宝飾品とも関わる。

歴史・用例

毛髪を主な材料とする精巧な宝飾品は1850〜1880年代に盛んで、ネックレスやブレスレットなどが製作された。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

服喪だけでなく、存命の家族・友人・恋人を思う品もある。毛髪の持ち主を外観のみから特定しない。

出典・参照箇所

関連語

モーニングジュエリー/服喪宝飾/ロケット

ジュエリー・宝石

ベルリンアイアン

Berlin iron jewellery細かな透かし模様などを鋳造した鉄製宝飾品。黒い仕上げのネックレス・ブレスレット・ブローチなどが知られる。

細かな透かし模様などを鋳造した鉄製宝飾品。黒い仕上げのネックレス・ブレスレット・ブローチなどが知られる。

歴史・用例

19世紀初頭のプロイセンでは対ナポレオン戦争と結び付く愛国的な意味を持ち、その後ヨーロッパで装身具として流行した。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

黒色であることだけから服喪用と断定しない。鉄製、黒色ガラス、ジェットは別の材料。

出典・参照箇所

関連語

鋳造/モーニングジュエリー/服喪宝飾

絵画・版画

ペンティメント

Pentimento画家が制作中に行った構図などの変更。上の絵具層の下に隠れていた変更が、経年変化や画像調査で確認されることがある。

画家が制作中に行った構図などの変更。上の絵具層の下に隠れていた変更が、経年変化や画像調査で確認されることがある。

歴史・用例

1550〜1565年頃の《慎重の寓意》のX線調査では、三つの人頭の下に動物の頭が後から加えられた構図の変更が確認されている。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

後世の修復者による補彩とは区別する。

出典・参照箇所

関連語

修復

来歴・保存・記述

保存(コンサベーション)

Conservation文化遺産を守り、現在と将来の人々が利用できるようにする措置の総体。予防保存、劣化に対する直接的処置、修復を含む。

文化遺産を守り、現在と将来の人々が利用できるようにする措置の総体。予防保存、劣化に対する直接的処置、修復を含む。

歴史・用例

2008年のICOM-CCの用語整理では、予防保存・劣化を止める処置・修復を含む総称として位置付けられた。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

本項はICOM-CCの2008年用語整理による。

出典・参照箇所

ジュエリー・宝石

ボックスクラスプ/差込式留め具

Box clasp箱状の受けに舌状の部品を差し込み、ばねの働きなどで固定する留め具。ネックレスやブレスレットに用いる。

箱状の受けに舌状の部品を差し込み、ばねの働きなどで固定する留め具。ネックレスやブレスレットに用いる。

歴史・用例

1869〜1879年の宝飾一式のネックレスには四角いボックスクラスプがあり、大英博物館の記録に記載されている。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

安全金具の有無や差込部の摩耗も確認する。留め具の形式だけでは宝飾品全体の年代を確定できない。

出典・参照箇所

関連語

Cキャッチ/C型留め具

彫刻

ボッツェット

Bozzetto彫刻の構想を試す小さな造形スケッチ。

彫刻の構想を試す小さな造形スケッチ。

歴史・用例

18世紀末から19世紀の彫刻工房でも、テラコッタの小模型から大型の原型へ進む工程に用いられた。

歴史・用例の出典

出典・参照箇所

陶磁器

ボーンチャイナ

Bone china骨灰を配合した、白色で透光性を持つ磁器。原料に骨灰を用いる点が名称の基礎となっている。

骨灰を配合した、白色で透光性を持つ磁器。原料に骨灰を用いる点が名称の基礎となっている。

歴史・用例

骨灰を用いた例としては英国では1740年代のボウで骨灰を配合した磁器が作られ、1790年代にはスポードが骨灰を使う配合を採用した。19世紀にイギリスで一般的に用いられた。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

本項では成立年や発明者を断定しない。

出典・参照箇所

関連語

磁器

彫刻

ポイント法

Pointing模型上の基準点を計測し、石材へ形を移す方法。

模型上の基準点を計測し、石材へ形を移す方法。

歴史・用例

18世紀末から19世紀の大規模な工房では、石膏上の金属の印を基準に助手が大理石を加工した。

歴史・用例の出典

出典・参照箇所

ガラス

ポンテ/ポンテ痕

Pontil / Pontil mark製作途中の器を底側から支える金属棒をポンテといい、取り外した際に底に残る痕をポンテ痕という。

製作途中の器を底側から支える金属棒をポンテといい、取り外した際に底に残る痕をポンテ痕という。

歴史・用例

中世ガラスの製法研究では、パーマー杯型の器を吹き竿からポンテに付け替え、上部を成形する工程が再現されている。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

痕の存在は製作工程の手掛かりであり、それ自体が年代の証明ではない。

出典・参照箇所

関連語

吹きガラス

陶磁器

マジョリカ(19世紀色釉陶器)

Majolicaヴィクトリア朝期に流行した、鮮やかな色の鉛釉を用いる陶器。動植物や貝などをかたどる装飾も見られる。

ヴィクトリア朝期に流行した、鮮やかな色の鉛釉を用いる陶器。動植物や貝などをかたどる装飾も見られる。

歴史・用例

1851年ロンドン万博でミントンが披露した色鮮やかな鉛釉陶器は当初パリシー・ウェアと呼ばれ、1880年代にはマジョリカの名が一般化した。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

イタリアの錫釉陶器maiolicaと同じ意味で使われる文献もあるため、時代と製法を添えて読む。

出典・参照箇所

関連語

マヨリカ(イタリア錫釉陶器)

陶磁器

マヨリカ(イタリア錫釉陶器)

Maiolicaイタリアの錫釉陶器に用いられる名称。白い不透明な釉面に彩色装飾を施す。

イタリアの錫釉陶器に用いられる名称。白い不透明な釉面に彩色装飾を施す。

歴史・用例

15世紀イタリアではスペインからのラスター彩陶器を指し、16世紀には錫釉陶器全般へと語の意味が広がった。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

19世紀の色釉陶器を指す英語majolicaとは文脈を分ける。

出典・参照箇所

関連語

マジョリカ(19世紀色釉陶器)/ファイアンス

家具・室内装飾

マルケトリ

Marquetry薄く切った異なる色や材質の片を組み合わせ、家具などの表面に文様を作る技法。

薄く切った異なる色や材質の片を組み合わせ、家具などの表面に文様を作る技法。

歴史・用例

1700年頃のパリ製家具には、鼈甲と真鍮を組み合わせる象嵌があり、木だけに限られない装飾として使われていた。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

日本語の「象嵌」は広い語なので、製法が分かる場合はマルケトリと補記する。

出典・参照箇所

関連語

ヴェニア/化粧張り/ブール・ワーク

ガラス

ミルフィオリ

Millefiori模様を持つガラス棒の断面を利用した装飾を調べる際に用いられる名称。「千の花」として知られる。

模様を持つガラス棒の断面を利用した装飾を調べる際に用いられる名称。「千の花」として知られる。

歴史・用例

19世紀ムラーノではこの装飾が復興し、色ガラスの棒を組み合わせるペーパーウェイトにも用いられた。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

古代の類似作品は「モザイクガラス」と記す方が適切な場合がある。

出典・参照箇所

関連語

モザイクガラス

ガラス

ムスリン/ムスリーヌ(ガラス)

Verre mousseline非常に薄く軽いガラスを指すフランス語の用法。

非常に薄く軽いガラスを指すフランス語の用法。

歴史・用例

TLFiは verre-mousseline の用例を1846年に記録する。薄い布を思わせる名称として飲用ガラスにも使われた。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

この出典は薄いガラスの呼称を裏付けるもので、特定メーカーの商標や装飾名の由来を立証するものではない。

出典・参照箇所

家具・室内装飾

メニュイジエ

Menuisier18世紀パリの家具製作では、椅子・寝台などの無垢材家具を作る職種。

18世紀パリの家具製作では、椅子・寝台などの無垢材家具を作る職種。

歴史・用例

18世紀パリの家具製作では、無垢材を使う椅子・ベッド・コンソールなどを担当し、エベニストとは通常別の職業だった。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

職分を表す語で、個々の製作者の名前ではない。

出典・参照箇所

関連語

エベニスト

図像・装飾

メメント・モリ

Memento mori人が死すべき存在であること、人生が短く脆いことを思い起こさせる美術表現。

人が死すべき存在であること、人生が短く脆いことを思い起こさせる美術表現。

歴史・用例

17世紀のヴァニタス静物画では、頭蓋骨を置いて死を思い起こさせる表現が使われ、富や知識の限界を示した。

歴史・用例の出典

出典・参照箇所

絵画・版画

木版画

Woodcut木の版を彫り、彫り残した高い部分にインクを付けて刷る凸版技法。

木の版を彫り、彫り残した高い部分にインクを付けて刷る凸版技法。

歴史・用例

ヨーロッパでは1400年までに現れ、単一の版から多数の図像を刷ることで、視覚的な情報の普及を支えた。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

凹みにインクを残す凹版とは印刷部分が逆になる。

出典・参照箇所

ガラス

モザイクガラス

Mosaic glassあらかじめ作ったガラス片などの要素を型の中に並べ、加熱して一体化させたガラス。

あらかじめ作ったガラス片などの要素を型の中に並べ、加熱して一体化させたガラス。

歴史・用例

紀元前1世紀末〜紀元1世紀初めの器には、文様のあるガラス棒の断片を融着して成形した例が残っている。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

同館は、古代の作品などでは「ミルフィオリ」よりこの名称を推奨している。

出典・参照箇所

関連語

ミルフィオリ

ジュエリー・宝石

モーニングジュエリー/服喪宝飾

Mourning jewellery死者を悼み、記憶を保つための宝飾品。指輪・ブローチ・ロケットなどに、銘文、毛髪、追悼図像、エナメルなどが用いられる。

死者を悼み、記憶を保つための宝飾品。指輪・ブローチ・ロケットなどに、銘文、毛髪、追悼図像、エナメルなどが用いられる。

歴史・用例

1733年の米国の指輪にも金・エナメル・ガラス・毛髪を組み合わせた例があり、ヴィクトリア時代以前から作られていた。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

黒い宝飾品や毛髪入りの品がすべて服喪用とは限らない。銘文・来歴・図像を合わせて判断する。mourningは「服喪」の意。

出典・参照箇所

関連語

ヘアワーク/毛髪細工/ジェット/ロケット/メメント・モリ

陶磁器

釉薬

Glaze焼成によって陶磁器の素地表面に形成されるガラス質の層。色・質感・耐水性などに関わる。

焼成によって陶磁器の素地表面に形成されるガラス質の層。色・質感・耐水性などに関わる。

歴史・用例

16世紀後半のフランスには、パリシー風の皿を鉛釉で仕上げた例が残っている。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

素地を覆う粘土質のスリップとは別のもの。

出典・参照箇所

関連語

スリップ/泥漿

様式・運動

ユーゲントシュティール

Jugendstilドイツにおけるアール・ヌーヴォーの名称。1896年創刊の雑誌『Jugend』と結び付いて広まった。

ドイツにおけるアール・ヌーヴォーの名称。1896年創刊の雑誌『Jugend』と結び付いて広まった。

歴史・用例

1896年創刊のミュンヘンの雑誌《ユーゲント》が名称の普及に関わり、雑誌挿絵などの平面的な表現にも特徴が現れた。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

英国・フランスの作例と、造形上の特徴がすべて同じという意味ではない。

出典・参照箇所

来歴・保存・記述

予防保存

Preventive conservation作品の材料や構造を直接変えず、周囲の環境や管理を通じて、将来の劣化や喪失を抑えること。

作品の材料や構造を直接変えず、周囲の環境や管理を通じて、将来の劣化や喪失を抑えること。

歴史・用例

2008年のICOM-CCの整理では、保管・輸送・光や湿度の管理など、作品に直接手を加えない対策の名称とされた。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

本項はICOM-CCの2008年用語整理による。

出典・参照箇所

ガラス

ラッティモ/乳白ガラス

Lattimo / Milk glass乳のような不透明な白色ガラス。ラッティモはイタリア語の乳に由来する名称で、酸化錫などによって不透明化する。

乳のような不透明な白色ガラス。ラッティモはイタリア語の乳に由来する名称で、酸化錫などによって不透明化する。

歴史・用例

15世紀のヴェネツィアでは、中国磁器への関心と結び付いて乳白ガラスが作られ、磁器を思わせる白い外観が求められた。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

見た目が白くても陶磁器とは材質が異なる。

出典・参照箇所

関連語

磁器

ガラス

ランプワーク

Flameworking / Lampworkingガラス棒や管を炎で軟化させ、道具などで形を整える技法。かつてのランプに代わり、現在はガスバーナーも用いられる。

ガラス棒や管を炎で軟化させ、道具などで形を整える技法。かつてのランプに代わり、現在はガスバーナーも用いられる。

歴史・用例

かつては油やパラフィンのランプと足踏みふいごを使い、後世にガストーチへ移行したことが「ランプワーク」という名の背景にある。

歴史・用例の出典

出典・参照箇所

絵画・版画

リトグラフ/石版画

Lithograph石や処理した金属板の平らな面に描き、油性インクと水の性質を利用して像を刷る平版技法。

石や処理した金属板の平らな面に描き、油性インクと水の性質を利用して像を刷る平版技法。

歴史・用例

1800年頃に登場した後、19世紀には風刺新聞に、世紀末にはロートレックらの多色刷りポスターに活用された。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

「石版画」と呼ばれても、すべてが石を版にしているとは限らない。

出典・参照箇所

様式・運動

ルイ16世様式

Louis XVI style18世紀後半フランスの新古典主義的な家具・室内装飾を指す様式名。直線や幾何学的な構成、古代風の装飾を特徴とする。

18世紀後半フランスの新古典主義的な家具・室内装飾を指す様式名。直線や幾何学的な構成、古代風の装飾を特徴とする。

歴史・用例

1760年頃からのロココへの反動と古代への関心を背景に、直線的な脚、楕円や四角の背、溝彫りなどが椅子に使われた。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

ロココと同義には扱わない。王の在位期間と、様式の発生・継続期間は必ずしも一致しない。

出典・参照箇所

様式・運動

ルネサンス

Renaissance古代の美術・建築・文芸への関心の復興を指す。14世紀以降のイタリアから展開し、時代区分と様式の名称の両方に使われる。

古代の美術・建築・文芸への関心の復興を指す。14世紀以降のイタリアから展開し、時代区分と様式の名称の両方に使われる。

歴史・用例

14世紀以降のイタリアで古代の美術・建築・文学への関心が復興し、遅れて北ヨーロッパにも広がった。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

地域によって展開時期が異なる。

出典・参照箇所

金属・七宝

ルプセ/打出し

Embossing / Repoussé金属板を裏側から打つなどして、表面に浮き上がる形を作る加工。

金属板を裏側から打つなどして、表面に浮き上がる形を作る加工。

歴史・用例

1850年頃のニューヨーク製銀の蓋付き鉢では、打ち出した花と曲線を彫金で整え、器の表面を立体的に飾っている。

歴史・用例の出典

出典・参照箇所

来歴・保存・記述

劣化を止める保存処置

Remedial conservation進行する損傷を止めたり、構造を強めたりするため、作品に直接行う処置。

進行する損傷を止めたり、構造を強めたりするため、作品に直接行う処置。

歴史・用例

2008年のICOM-CCの整理では、陶磁器の脱塩や腐食金属の安定化など、進行する劣化に直接対処する作業が例に挙げられた。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

本項はICOM-CCの2008年用語整理による。

出典・参照箇所

ガラス

レティチェッロ

Vetro a reticelloガラス棒を交差するように組み、細かな網目を作った吹きガラス。網目の中に小さな気泡を含むものもある。

ガラス棒を交差するように組み、細かな網目を作った吹きガラス。網目の中に小さな気泡を含むものもある。

歴史・用例

16世紀ムラーノで発達したフィリグラーナ系の一種で、網目状の装飾を施した吹きガラスの杯などに用いられる。

歴史・用例の出典

出典・参照箇所

関連語

フィリグラーナ

彫刻

レリーフ/浮彫

Relief平らな背景から形が浮き出すように表した彫刻。

平らな背景から形が浮き出すように表した彫刻。

歴史・用例

壁面などの背景と一体の造形に用い、突出の強い高浮彫から浅い表現までを含む。

歴史・用例の出典

出典・参照箇所

ガラス

レーマー

Römer / Roemer丸みのある口部、円筒状の胴部、円錐状の脚部を持つワインやビールの飲用器。胴部にプルントを付けるものが多い。

丸みのある口部、円筒状の胴部、円錐状の脚部を持つワインやビールの飲用器。胴部にプルントを付けるものが多い。

歴史・用例

17世紀の静物画にもたびたび描かれ、丸い碗部と裾の広がる脚をもつワイングラスとして親しまれた。

歴史・用例の出典

出典・参照箇所

関連語

プルント

ジュエリー・宝石

レール留め/チャネル・セッティング

Channel setting平行な二本の金属の壁の間に石を一列に収めて保持する留め方。石と石の間に独立した爪を見せず、連続した列を作る。

平行な二本の金属の壁の間に石を一列に収めて保持する留め方。石と石の間に独立した爪を見せず、連続した列を作る。

歴史・用例

結婚指輪や指輪の脇石の列に用いられる構造で、現代にも続く石留めの用語だが、初出年代は今回の資料では確定していない。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

石の大きさを揃えるだけではレール留めとはいわない。裏面や側面から保持構造を確認する。

出典・参照箇所

関連語

パヴェ/爪留め

ジュエリー・宝石

ロケット

Locket内部に小さな肖像・写真・毛髪などを収める宝飾品の容器。ペンダントだけでなく、指輪やブレスレットの一部にもなる。

内部に小さな肖像・写真・毛髪などを収める宝飾品の容器。ペンダントだけでなく、指輪やブレスレットの一部にもなる。

歴史・用例

19世紀の毛髪宝飾では、ロケットに毛髪を収める形式に加え、編んだ毛髪の腕輪に肖像入りの金製ロケットを組み合わせた例がある。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

ロケットという構造だけでは服喪用とは限らない。中の品が制作当初からのものかも別に確認する。

出典・参照箇所

関連語

ヘアワーク/毛髪細工/モーニングジュエリー/服喪宝飾/アクロスティックジュエリー

様式・運動

ロココ

Rococo18世紀前半のフランスで展開した装飾様式。非対称の曲線や自然に由来する装飾を特徴とし、工芸や室内装飾で重要な位置を占める。

18世紀前半のフランスで展開した装飾様式。非対称の曲線や自然に由来する装飾を特徴とし、工芸や室内装飾で重要な位置を占める。

歴史・用例

1720〜1730年代のフランスで現れ、家具・銀器・陶磁器を中心に展開し、英国では1740〜1770年頃に盛んになった。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

様式の名称と、個々の作品の制作年代は分けて扱う。

出典・参照箇所

金属・七宝

ロストワックス鋳造

Lost-wax casting蝋で作った原型を型材で囲み、蝋を除いた空間に金属を流す鋳造法。

蝋で作った原型を型材で囲み、蝋を除いた空間に金属を流す鋳造法。

歴史・用例

ルネサンスのブロンズ彫刻にも用いられ、1500年頃には同じ構想の作品を複数鋳造する技術が発展した。

歴史・用例の出典

出典・参照箇所

金属・七宝

ロン・ド・ボス/立体七宝

Émail en ronde-bosse立体に造形した金などの表面をエナメルで覆う技法。人物や動物などの小像にも用いる。

立体に造形した金などの表面をエナメルで覆う技法。人物や動物などの小像にも用いる。

歴史・用例

1400年前後のフランス宮廷では、七宝で覆った小像を伴う豪華な金工品が作られ、ヴァロワ家の贈答にも好まれた。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

フランス語のronde-bosse自体は丸彫り彫刻も指すため、七宝の話ではémailを伴う文脈を確認する。

出典・参照箇所

関連語

エナメル/七宝(金属)/バスタイユ/低浮彫七宝

ジュエリー・宝石

ローズカット

Rose cut通常、平らな底面と、頂部へ集まるファセットを備え、上面に大きなテーブル面を持たないカット。歴史的な形には多様な変種がある。

通常、平らな底面と、頂部へ集まるファセットを備え、上面に大きなテーブル面を持たないカット。歴史的な形には多様な変種がある。

歴史・用例

17世紀後半の教会宝物にはサファイア・ガーネット・水晶などのローズカットがあり、宝石学的に調査されている。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

ダイヤモンドだけの技法ではない。面数や形を一種類に固定して定義しない。

出典・参照箇所

関連語

オールドマインカット/カボション/フォイルバック/箔裏打ち

絵画・版画

ワニス

Varnish絵画表面に施される被膜。保護するとともに、光の反射や艶などの見え方を変える。

絵画表面に施される被膜。保護するとともに、光の反射や艶などの見え方を変える。

歴史・用例

ルーベンスの《ヴィーナスの誕生》には1885年に塗られたワニスがあり、後の修復で変色した層を除去して画面の色調を回復した。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

経年で変色するものがあるが、除去の要否は作品ごとに判断する。

出典・参照箇所

関連語

保存(コンサベーション)

図像・装飾

ヴァニタス

Vanitas人の死や現世の富のはかなさを思い起こさせる象徴物を配した静物表現。

人の死や現世の富のはかなさを思い起こさせる象徴物を配した静物表現。

歴史・用例

17世紀オランダの静物画で好まれ、頭蓋骨や消えゆくものを通じて、人生や富のはかなさを表した。

歴史・用例の出典

出典・参照箇所

家具・室内装飾

ヴェニア/化粧張り

Veneer薄い材を基材の表面に張る仕上げ。家具では、表面の木材と内部の構造材を分けて考える必要がある。

薄い材を基材の表面に張る仕上げ。家具では、表面の木材と内部の構造材を分けて考える必要がある。

歴史・用例

1700年頃のブールに帰属するキャビネットでは、オークの本体に黒檀などを張り、構造材と表面の装飾材を使い分けている。

歴史・用例の出典

用語を使う際の注意

ここでのヴェニアは、日常語でいう合板だけを意味しない。

出典・参照箇所

関連語

マルケトリ

金属・七宝

ヴェルメイユ

Vermeil銀を基体として金の層を設けたもの。

銀を基体として金の層を設けたもの。

歴史・用例

銀器や宝飾の材質表示に使われる。現行の米国規則はスターリング銀の基体や被覆条件を定めており、国や時代の用法とは区別して読む。

歴史・用例の出典

出典・参照箇所

この辞典について

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