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フランスの金製品(ゴールド)ホールマーク(刻印)※特にジュエリー 

フランスの金製品、特にジュエリーのホールマーク(刻印)について解説します。フランスの刻委員事情はイギリスとはかなり異なりますが、イギリスはほとんどのジュエリーがホールマークを免除されていたのに比べるとかなり厳しく管理をされていました。一般的に流通している19世紀以降の刻印を解説をします。


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純度について

金の純度は日本やアメリカ、イギリスなど多くの国で24分率で表記される場合が多いです。

24分率 1000分率
24金 999/1000〜1000/1000
22 917/1000
18 750/1000
15 625/1000
14 585/1000
12 500/1000
10 420/1000
9 375/1000

しかし、フランスの場合、24分率と1000分率双方ともよく使用されます。

※便宜上、以下の説明では24分率で説明いたします。


フランスの金品位基準は以下の通りです(1797年に定められる)。


920/1000(ほぼ22金) ファーストスタンダード(1er titre)。
916/1000(ほぼ22金) メダルや通貨
840/1000(ほぼ20金) セカンドスタンダード(2eme title)
750/1000(18金) サードスタンダード(3eme title)
583/1000(ほぼ14金) フォーススタンダード(4eme title)。1884年1月25日に導入。輸出品に限る。

★金に関しては公差3/1000、銀に関しては公差5/1000は許されました(メダルや通貨の場合は、金は1/1000、銀は2/1000)。


★なおプラチナに関しては1910年まで定められた刻印はありませんでした。


LOI DU 19 BRUMAIRE AN VI

近現代のフランスの刻印の基礎となった法律で、フランス革命中の1797年11月9日に定められました。この法律により上記のスタンダードやポワンソンについての様々なルールが決められ、以降はこの法律に追加・修正されることで長く使用されました。

・Article 1 フランスで製造された金銀製品は全ての品物はそれぞれの品質に応じて法律にて定めれた基準に準拠する必要がある。

・Artivle 7 金と銀できた素材や品物が基準に基づいているという保証は刻印を打つことにより確かなものとなる。

・Article 19 偽の刻印を使用した工房(人)は10年間の禁固刑に処する。

など


ポワンソン(刻印、ホールマーク)

イギリスでいうところのホールマーク(刻印)をフランスでは「poinçon(ポワンソン)」といいます。


■1838年〜1919年


金品位の刻印

・1er ・・・ 八角形の枠、男性(Medecin gree)の横顔、「1」の文字

・2e ・・・ オーバル型、男性の横顔、「2」の文字

・3e ・・・ 六角形、男性の横顔、「3」の文字


小さな金の刻印

小さなものに押されるポワンソン。ジュエリーの場合は通常はこちらが押されます。パリは「鷲の頭」、その他は「馬の頭」の刻印となります。「鷲の頭」は1847年にマイナーチェンジをしていますが、実物での判断は非常に難しいです(1919年以降は全て「鷲の頭」に統一され引き続き使用されています)。金品位は750/1000以上です。


金と銀の合金

金と銀の合金のものに使用(金が30/1000(3.0%)以上)。


輸入品の金の刻印

ゾウムシのポワンソン。提携国からの輸入品などに押されます。金品位750/1000以上。

次に挙げた国が対象です。イエメン、ドイツ、イングランド、オーストリア、アルゼンチン、ベルギー、コロンビア、クレタ島、デンマーク、ドミニカ、エジプト、エクアドル、スペイン、ギリシャ、ハンガリー、イタリア、日本、ルクセンブルグ、モロッコ、メキシコ、ノルウェー、パナマ、パラグアイ、オランダ、ペルシャ、ポルトガル、ルーマニア、スェーデン、スイス、チェコスロバキア、トリポリ、チュニジア、トルコ、ウルグアイ、ベネズエラ、ユーゴスラビア。

このポワンソンは銀製品にも使用されています(銀品位800/1000以上で)。


フクロウの刻印

フクロウのポワンソン。1893年から使用。金品位は750/1000以上。提携していない国からの輸入品に押されます。それは次の国です。ブラジル、カナダ、中国、アメリカ、スペイン、エストニア、フィンランド、ハンガリー、リトアニア、ペルー、ポーランド、ロシアなど。

また、どこの国で製造されたものかわからない(フランス製と断定できない)ものにも押されます。

※銀製品の場合は白鳥のポワンソンが使用されています。


輸出向けの刻印輸出向けジュエリーの刻印

輸出用ポワンソン(1879年4月1日〜)。

・1er ・・・ マーキュリーの横顔、「1」の文字

・2e ・・・ マーキュリーの横顔、「2」の文字

・3e ・・・ マーキュリー横顔、「3」の文字

・小さいもの ・・・ マーキュリーの横顔のみ


フォーススタンダードの刻印

輸出向けのフォーススタンダードのポワンソン(1884年〜1983年)。

※『LES POINCONS FRANCAIS D'OR,D'ARGENT,DE PLATINE DE 1275 A NOUS JOURS』P.104で1844年からとなっていますが、これは誤植と思われます。


★フランスのポワンソンは上記以外にも多数ございます。


免除規定

フランスの金銀製品にはポワンソンを打たなくてもよいという免除規定がいくつかあります。

■1838年5月10日施行(Ordonnance du 30 juln 1835)

・Les petits anneaux d'emmaillement

・Bagues en ecaille

・Boites pour cheveux et cordonnets.

・Boutons de chemise en nacre garnis d'or et d'argent.

・Cardrans et aiguilles de montre.

・Clochettes pour pendeloques.

・Coulants cylindriques et a pans de 4mm d'ouverture.

・Couronnes de remontoir.

・Ecussons de countellerie.

・Ecussons incrustes sur tabatieres.

・Incrustations.

・Montures pour bijoux de nacre trop fragiiles.

・Sondes a poitrine.

・Stylets.

・Tetes de crayons et porte-crayons.


■2004年7月1日施行(2001年11月20日制定)

・3グラム未満の金もしくはプラチナ、30グラム未満の銀(刻印をつけることもできる)

・刻印を打つことによって破損の危険性があるもの。

・1838年より前のもの。

・含有量が規定未満のもの。

・欧州経済領域又はトルコからの輸入品で公的な刻印が押されているもの。


※『LES POINCONS FRANCAIS D'OR,D'ARGENT,DE PLATINE DE 1275 A NOUS JOURS』の立法と現在の保証というページにで免除規定が掲載されていますが、正確にいつ定められた免除規定か不明です(恐らく1797年以降から上記の2004年までに段階的に決められたもの)。

・0.5g以下の金とプラチナ、5g以下の銀。

・外国の大使などのための金銀(これは1797年の法律に記載)、プラチナ製品

・個人旅行者が使用目的のための金、プラチナでできたジュエリー、また500g未満の銀(こちらも1797年の法律に記載)

・1798年より前のもの。

・刻印が押されているものに付属(補助)しているようなもの(時計の針や文字盤など)

・1832年より前のメダルや通貨

など


【参考文献】

・『POINCONS DE LA GARANTIE』(A.CONCHE、1909年)

・『POINCONS d'OR et de PLATINE』(TARDY,8版、1975年)

・『INTERNATIONAL HALLMARKS ON SILVER』(TARDY、1985年)

・『LES POINCONS FRANCAIS D'OR,D'ARGENT,DE PLATINE DE 1275 A NOUS JOURS』(Yves Markezana、Editions VIAL、2005年)


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