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アール・ヌーヴォー

アール・ヌーヴォー

1900年、パリで5回目となる万国博覧会が行われた。画商サミュエル・ビングはジョルジュ・ド・フールがデザインした店舗で出店をした。そのときの店名はビングが1895年から自身の店名として使用していた「アール・ヌーヴォー」であり、世界にその名前が知れ渡った。自然への傾倒、柔らかな曲線的かつ耽美的なデザイン、手の込んだ高級志向の作りはそれまでの新古典主義や歴史主義、ジャポニスムなどを取り込みつつ、かつそれらにはない独創的なデザインであり、その名の通り正に新しい芸術であった。この1900年パリ万博のときはその流行のピークであった。アール・ヌーヴォーはドイツに近いナンシーを中心に形成されていき、世界へと広まった。


ガラスでの表現

アール・ヌーヴォーの工芸品といえば、なんといってもガラスである。エミール・ガレドーム兄弟などナンシーを中心に多大な影響がみられた。また新しい技術の発展もあり、多くの名品が製造された。特にガレは命のはかなさなどを表現するなど、ガラスに魂を吹き込んだともいわれるほどであった。1901年にはガレを会長とするナンシー派が設立され、副会長にはルイ・マジョレル、アントナン・ドーム、ヴァランが選任され、理事会は36名によって成り立った。

ガレ

出典: メトロポリタン美術館

花瓶 Galle 1896年

第一工房期ガレの花瓶。半透明のガラスの上に赤色のガラスを被せ、酸化腐食彫りの技法でカメオのように色合いの変化をつける技法が流行した。



家具

出典:メトロポリタン美術館

キャビネット 1900年頃

エミール・ガレの製品。曲線を活かしたデザインと、マルケトリーによる装飾。

建築・家具における表現

パリではビングのもとで、ウジェーヌ・ガイヤール、ジョルジュ・ド・フール、エドワード・コロンナなどが家具は高度な表現力を持った作品を制作した。また「ラ・メゾン・モデルヌ」という経済的に恵まれない階級の日常を向上させることを目標とした組織や「五人組」(のち「六人組」)と呼ばれる組織も作られるなど、パリでもアール・ヌーヴォーは活発化した。もちろんナンシーでもアール・ヌーヴォーの作品は多く製造され、中でもルイ・マジョレルやエミール・ガレが家具分野で活躍した。柔らかな曲線美はもちろん、マルケトリー(象嵌)技法を用い自然を家具に落とし込んだ。


ジュエリーでの表現

ジュエリーの分野でもアール・ヌーヴォーは流行した。ルネ・ラリック、ジョルジュ・フーケ、ルシアン・ガイヤールなどが活躍した。単に宝石を使うのではなく、エナメルによる彩色が流行し、特にステンドガラスのようなプリカジュールが流行した。

ラリック

出典:パリ市近代美術館メデューサ展

ネックレス 1899年〜1900年

ルネ・ラリックの作品。エナメルにダイヤモンドやペリドットの宝石、そしてガラスが使用されたネックレス。


椅子

出典:ウルフソニアン博物館

椅子 1900年頃

ドイツのデザイナー、ペーター・ベーレンスによる椅子。アール ・ヌーヴォーとはまた異なる雰囲気がある。

ユーゲント・シュティール

ドイツなど中欧やオランダでは「ユーゲント・シュティール」として流行した。名前の由来は雑誌『ユーゲント』からで、「青春様式」を意味する。磁器ではマイセンKPMなど、ガラスではテレジアンタールなど、銀器でも多くユーゲント・シュティールの作品は製造された。


陶磁器における表現

陶磁器でも大きな影響があった。フランスのセーヴルやリモージュなどの磁器はもちろんだが、フランスでは特にバルボティーヌが高い人気を誇った。大胆で鮮やかな色合いが特徴的で、多くの窯で製造された。イギリスにおけるアール・ヌーヴォーの陶磁器は案外少ない。オランダのローゼンブルクやデンマークのコペンハーゲン、スェーデンのロールストランドなど各国の窯でアール・ヌーヴォー様式の作品が製造された。

花瓶

出典:スミソニアン博物館

花瓶 1900年

オランダ、ローゼンブルクの製品。柔らかい曲線美の花瓶。


アール・ヌーヴォーのアンティーク

アール・ヌーヴォーは高級志向の作りが多く、デザイン、技術ともに優れているのが特徴的であり、またエミール・ガレのように産業芸術家として多くの工芸家が活躍した。フランスではベル・エポックと重なる時期でもあり、アメリカの好景気にも支えられた。1914年、サラエボ事件をきっかけに第一次世界大戦が勃発し、多くの国を巻き込んだこの戦争は工芸の世界も一変させた。職人は戦争に参加、多くの工房が生産停止に追い込まれるなど、アール・ヌーヴォーの終焉へと向かわせることとなった。


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【参考文献】

『アール・ヌーヴォー アール・デコ』(別冊太陽、平凡社、1994年)